自腹でスパイク購入のJリーガーに救いを サポーターが選手を支援 徳島のベンチャー企業がJ1福岡・金森健志ら18選手に提供
J1アビスパ福岡の金森健志(30)がこのほどスパイクを新調した。側面に「Takeshi7」の刺しゅうが入った〝オリジナル〟の一品。 ■勝利の女神がチャント熱唱【写真】 徳島のベンチャー企業「FOOTBALL GEAR AGENCY」(以下FGA)から提供された。そこにはJリーガーの現状を憂慮し、選手への新たな支援の形を模索するFGAと金森の思いが詰まっている。 FGAは400足以上のスパイクを収集している橋本拓弥さん(33)が今年1月に設立。サポーターから集めた支援金で既製品を〝オリジナル〟のスパイクに加工して選手に無償で届ける。支援額に応じて選手がサイン入りのスパイクやボールを返礼している。 きっかけは橋本さんが収集を機に知り合ったJリーガーたちから聞いた窮状だった。「元日本代表やJ1の選手を含めたJリーガーの多くがスパイクを提供してもらえず、自分で買っている。選手からすると命であり、一番大切な戦う道具。プロを目指す子どもたちにとって、現状がいいことなのだろうかと思った」。 個人的に応援していた大学生がJ3クラブへの加入が決まり、スパイクをプレゼント。それを履いて出場したときに感動し「サポーターがみんなで応援し、選手の足元を支えるというのはすごくいいことなのでは」と思い立った。選手の要望に応じ、Jリーグクラブの現役ホペイロ(用具係)がスパイクを調整、加工して選手に合った一点物に仕上げる。 金森もこれまで自腹で購入していたが、横幅が広い足に合うスパイクを探すのに苦労していた。知人からFGAの活動を聞き「微調整ができるので選手からしたらすごくありがたい。例えばひもをアビスパのカラーにすることもできる。僕とサポーターがつながれるので、頑張ろうという気持ちになれる」と10月に契約。側面に自らの名前と背番号を入れた。11月3日の柏戦で履き、今季初ゴールをマーク。試合で感触を確認しながら、調整していく予定だ。 FGAは11日現在、J1リーグで得点ランキングトップのレオセアラ(C大阪)や、元福岡のルキアン(湘南)と中村駿(磐田)ら18選手と契約。中には本拠地のイラストを入れる選手もいるなど、それぞれが思いを込めて戦っている。橋本さんは「選手がよりファンから応援されることで、選手、人としての価値の向上につながる。そこをサポートしたい。今、Jリーガーの中にはスパイクを買うと携帯代が払えないという選手もいる。最低年俸を引き上げる話が出ているけど、将来的には用具最低保証ができないか提言していきたい」と構想を語った。 詳細はFGAの公式サイト(https://fgagency.jp)で確認できる。(末継智章)
西日本新聞社