姿を消していたヒロミが、旬芸人をしのいで打ち切り「ジョンソン」の後釜番組のMCに座るまで復活した理由
ヒロミが復活できた第1の理由は、テレビの第一線から退いてはいたが、芸能界の人間関係から完全に身を引いたわけではなかったからだ。テレビにほとんど出なくなってからも、友人である木梨憲武、藤井フミヤなどとは親交があった。また、妻である松本伊代もタレントとして活動を続けていた。 いわば、ヒロミ自身がテレビに出ていないとはいえ、芸能界に片足を突っ込んでいる状態に変わりはなかった。こういう状態だったからこそ、タレントとしての勘が鈍らなかった。いきなりテレビに出てもそれなりに対応できたのは、休業中にもきちんと芸能人との付き合いを続けていたからだ。
第2の理由は、時代がヒロミのようなキャラクターを再び求めるようになったということだ。これはテレビでも本人の口から何度か語られている。 ヒロミが復活した2014年頃には、有吉弘行、坂上忍、マツコ・デラックスなど、「毒舌キャラ」と言われる人たちの活躍がめざましかった。彼らは、物事の本質を捉えた厳しい毒舌を浴びせかけ、その切れ味が認められて、どんどん仕事を増やしてきた。 ヒロミも、どちらかというとそういうタイプの芸人である。元暴走族ならではの特攻精神で、どんな相手にもズケズケと乱暴に絡んでいく。暴力的なツッコミをしたり、目上の人にもタメ口を使ったりする。そういうヒロミの荒々しい芸風が、ようやく時流に合うようになってきた。有吉、坂上がいけるなら、俺もいけるんじゃないか。ヒロミはそう思ったのだという。
■元ヤンキーの強みを生かす また、ヒロミの強みはそういう荒っぽいところだけではない。それと同時に、目上の人の心をつかむ抜群の社交センスを持ちあわせている。それがあるのは、おそらく彼が元ヤンキーだからだろう。 上下関係に厳しい世界で鍛えられ、体を張って危険に身をさらすことに慣れている彼は、そのヤンキー魂を武器にして芸能界を渡り歩いてきた。ビートたけしを「オジさん」と呼び、明石家さんまを「さんちゃん」と呼ぶ。怒られないし失礼だとも思われない絶妙な距離感で人付き合いができるのがヒロミの持ち味だ。