米セレブが問題提起した男女間の賃金格差 解決には“100年”必要?
男女の賃金格差は世界的な問題でもあり、それぞれの国で格差解消に向けて様々な取り組みが行われてきましたが、完全な実現に向けてまだまだ課題が山積しています。「男女平等」が進んでいるイメージのあるアメリカでも同様で、現在でも女性の平均給与が男性の約8割にとどまっています。3月から5月にかけて、スポーツ界やエンタメ界からは賃金格差の是正を求める声が上がり、それらがきっかけとなって男女間の給与格差が改めてクローズアップされています。
世界王者の米女子サッカー代表選手が改善要求
世界チャンピオンとして日本代表と幾度もの名勝負を繰り広げてきた米サッカー女子代表の中心選手5名が、3月30日に男子サッカー選手との給与格差は男女差別が原因だとして、日本の労働基準署にあたる機関に申し立てを行いました。申し立てを行った5人にはフォワードのアレックス・モーガンやゴールキーパーのホープ・ソロといった日本でもよく知られた選手も含まれており、女子選手が代表戦で手にするサラリー(出場給や勝利給)が男子代表の40パーセントにしか過ぎない現状に対して、女子の代表選手から改善を求める声が上がったのです。 サッカーの国際大会における男女間の給与格差は非常に大きく、昨年行われた女子ワールドカップの賞金総額が約1500万ドルだったのに対し、2014年ブラジル大会(男子)の賞金総額は約5億3000万ドルに達しました。男子代表の場合、グループリーグで敗退しても、各チームは800万ドルの賞金を手にすることができ、ブラジル大会で優勝したドイツ代表には3500万ドルが支払われました。昨年優勝した米女子代表に支払われた賞金が200万ドルですから、国際大会における給与格差は一目瞭然です。2014年大会でベスト16まで残ったものの、ベルギー代表に2-1で敗れた米男子代表には900万ドルが支払われていました。 アメリカを代表するトップアスリートの連名による申し立ては大きな反響を呼びましたが、女子プロリーグの規模の小ささや、放映権ビジネスにおける女子サッカーの市場価値など、男子サッカーと比較した際にどうしても収益化の部分で見劣りするのも事実です。サッカー米女子代表が呈した疑問には一理あるものの、彼女たちの申し立てには賛否両論あります。しかし、男性と女性が同じ場所で仕事を行い、そこでの給与格差が明白なケースも少なくありません。5月に入ると、給与格差の是正を求める声がハリウッドからも上がりました。