『トップガン マーヴェリック』の元ネタ!? いまだ現役「トムキャット」戦闘機 なぜ“悪の枢軸”で飛び続ける?
本家アメリカ海軍よりも戦果あり
最大の見積もりだと推定40機程度のF-14が生き残っているとされるイラン空軍のF-14戦闘機ですが、最近ではISISへ爆撃に向かうためにイラン領空を通過するロシア軍爆撃機をエスコートする姿が公開されており、その健在ぶりを強く世界に印象づけています。 なお、映画『トップガン』のクライマックスシーンにおいて、マーヴェリックは多数の敵戦闘機を撃墜する戦果をあげましたが、実際のアメリカ海軍におけるF-14の撃墜戦果は戦闘機4機とヘリコプター1機だけです。 かたやイラン空軍のF-14は、1980(昭和55)年から1988(昭和63)年まで続いた泥沼のイラン・イラク戦争において、イラク軍機を159機撃墜しているとか。100km遠方からまさにワンサイドゲームで攻撃してくるF-14は、イラク空軍を恐れさせたようです。ちなみに、この戦争ではマーヴェリックをはるかに上回る11機を撃墜したイラン人エースパイロットも誕生しています。 『トップガン』と言えばF-14であるというファンも少なくないでしょう。続編が作られるというニュースが出た際、「是非とも歴戦の勇者であるイラン空軍のF-14を主役として出演させてほしい」という声が世界から挙がったようです。事実、筆者(関 賢太郎:航空軍事評論家)もそんな願いを持っていたファンの1人でした。 そういった声を受けてなのか、『トップガン マーヴェリック』には、「イランである」とは直接明言されてはいないものの、敵国の飛行場に残されたF-14が登場し、マーヴェリックらはそれに乗って活躍するシーンが盛り込まれています。 荒唐無稽と言えばそれまでですが、軍事的なリアリティとエンターテイメント性を高い次元で融合させた、見事な演出と言えるでしょう。前作と変わらない飛びっぷりを見せる『トップガン マーヴェリック』のF-14、当該シーンは2024年現在もイラン空軍で飛び続けているからこそと言えるのかもしれません。
関 賢太郎(航空軍事評論家)