「銀行で投資信託を買うな!」ってホント?元銀行員がお答えします!
2024年1月からNISAが新しく生まれ変わります。これを機に投資を始めてみようとお考えの方もいるでしょう。 【グラフ】「銀行・証券会社・ネット証券」投資信託の保有顧客数はどこが多い? NISAを始めるにあたり、まずはNISA口座を開設する金融機関を選ばなければいけません。 「毎月の給与が振り込まれる銀行が便利だな」、「自宅から近い銀行なら相談に行きやすいな」といった理由でNISA口座を開設する方もいるでしょう。 しかし、「銀行で投資信託を買うな!」といった声があり、どうすべきか迷っている方もいるかもしれません。 銀行で投資信託を購入している人がたくさんいるなか、なぜこのような意見がでているのか。元銀行員である筆者が、本当に銀行で投資信託を買ってはいけないのかお答えします。 ※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
「銀行で投資信託を買うな!」と言われる理由
「銀行で投資信託を買うな!」と言われる理由として考えられるのは、主に以下の2点でしょう。 ・商品のラインナップが少ない ・手数料が高い 実際はどうなのか検証してみます。 ●商品のラインナップが少ない 銀行と証券会社の投資信託の取扱銘柄数を比較してみましょう。 銀行:投資信託の取扱銘柄数 ・A銀行:617本 ・B銀行:195本 ・C銀行:253本 証券会社:投資信託の取扱銘柄数 ・A証券:1468本 ・B証券:1207本 ・C証券:600本 ネット銀行:投資信託の取扱銘柄数 ・ネット銀行A:254本 ・ネット銀行B:323本 ・ネット銀行C:783本 ネット証券:投資信託の取扱銘柄数 ・ネット証券A:2602本 ・ネット証券B:2602本 ・ネット証券C:1667本 上記のとおり、銀行と証券会社では投資信託の取扱銘柄数が大きく異なります。また、窓口を設けないネット証券は投資信託の商品ラインナップが圧倒的に多いことも見てとれます。 たしかに銀行は他と比較すると選択肢が少ないということになりますが、重要なのは運用成績や自分に合う投資信託があるかどうか。取扱銘柄数が多いから良い、少ないから良くないと一概に言い切れるものではないでしょう。 ●手数料が高い 銀行で取り扱う投資信託は手数料が高いのでしょうか。 投資信託には主に「買うとき・運用期間中・売るとき」に手数料が発生します。このうち運用期間中にかかる信託報酬は、運用会社が設定するものであり、銀行や証券会社による違いはありません。 また、売るときにかかる信託財産留保額は販売会社や運用会社に支払うものではなく、信託財産として留保されるものですので、こちらも販売会社ごとに違いはありません。 金融機関により差が生じる投資信託の手数料は、買うときにかかる購入手数料です。 しかし、2021年に金融庁が発表した「投資信託等の販売会社に関する定量データ分析結果」によると、金融機関ごとの投資信託の平均販売手数料は、主要銀行より大手証券会社が高いことが明らかになっています。 2016年度時点の平均販売手数料は主要銀行が2.19%であるのに対し、大手証券会社は2.32%です。2020年度においては主要銀行が1.53%であるのに対し、大手証券会社は2.59%。 上記より、投資信託を購入する際にかかる手数料は現状、銀行だけが突出して高いというわけではないようです。 ただし、銀行と証券会社は顧客層が異なる点を考慮しなければいけません。⼤⼿証券会社等は、投資経験が豊富な顧客を対象にしているなど銀⾏とは顧客属性が異なります。 手数料が高い傾向にあるアクティブ型投資信託の販売が多いことから、証券会社は銀行より販売手数料が高いと考えられます。 以上、銀行で投資信託を買うな! と言われる理由として考えられる2点を検証しましたが、必ずしもそうとは言い切れないようですね。