【ランキング】「大学生協で売れている本」は? 早稲田と同志社、ヒットの傾向は?
また、1、2月のランキングでは圏外ですが、年間を通じて売れているのが早稲田大学出身の作家の小説です。 「早稲田大学は芥川賞、直木賞を受賞している作家をもっとも多く送り出している大学です。23年は第169回の芥川賞を受賞した市川沙央さんの『ハンチバック』が売れました」
同志社大学は…?
次に同志社大学です。 早稲田大学に比べて、小説が多く入っています。4位『八月の御所グラウンド』の作家、万城目学さんは、大学時代を京都で過ごしました。同志社生活協同組合「良心館ブック&ショップ」の山形拓史さんによると、万城目さんの作品は普段からよく売れるそうです。 「『八月の御所グラウンド』は、物語の舞台が同志社大学今出川キャンパスのすぐ近くということも理由でしょう。また、この作品は24年1月に第170回直木賞を受賞し、これをきっかけに翌月の売り上げが増えました」 『アルジャーノンに花束を』(9位)は、海外の短編SFで1980年代にヒットした作品です。なぜ、今になって再び売れているのでしょうか。 「アーティストの『ヨルシカ』が23年2月に配信が開始された楽曲『アルジャーノン』のモチーフとなったことが知られてから、売れ始めました。小説TikToker(ティックトッカー)で知られる、けんごさんがこの本を取り上げたことも影響しているようです」と山形さんは分析します。 専門の本では『ケアの倫理』(1月4位、2月5位)が売れています。著者は政治学者で政治思想・フェミニズム理論が専門の岡野八代さん。岡野さんは同志社大学グローバル・スタディーズ研究科の教授も務めています。男性の論理で構築された社会の中で、女性たちが自らの経験から編み出したフェミニズムの政治思想やケアの倫理について、専門家が解説しています。 同志社大学のランキングでは、このほか『ジェンダー史10講』(2月5位)、『同性婚と司法』(2月7位)など、フェミニズム系の本が複数入っています。 「同志社大学にはフェミニズム系で有名な研究者が複数います。この分野を学びたくて入った学生も多いと思われますし、そうした人たちが好んでこうした本を読んでいる可能性が高いと考えています」 早稲田大学、同志社大学に共通してランクインしているのが、英語試験対策と就活関係の書籍です。『TOEIC L&R TEST出る単特急 金のフレーズ』(早稲田生協1月4位、同志社生協1月5位)、『就職四季報 総合版2025-2026』(早稲田生協1月3位、同志社生協1月3位)、『公式TOEIC Listening & Reading問題集 10』(早稲田生協2月5位、同志社生協2月1位)などが、年間を通じて売れています。 「TOEICは試験の直前になると、売れ行きが伸びます。頑張って試験勉強に取り組んでいる様子がうかがえますね」(橋本さん)