イタリア・ベネト州で開催のグラベル世界選手権、編集長がウィリエールで走ってみた 続編
前が見えない集団のなか、パンクが続出
レースがスタートすると、川沿いの10cmほどの玉石が転がるグラベルロードを進むことになる。地元多摩川と変わらない光景が広がる。残念ながらここで早々に脚がなく山口は集団から脱落してしまうが、前が見えない集団の中で石を避けれずにパンクする選手が続出。コース沿道にはパンク修理する選手が10名近くみかけられた。 今回山口がタイヤチョイスを38Cにしたのは、前年の情報を元に、上りがきついコースと聞いていたためにできるだけ軽くしたかったからだ。集団から脱落したことで結果的にパンクせずに済んだことはラッキーだったのかもしれない。結果的にこの後につづく上り坂でも軽く走ることができたのはこのタイヤのおかげだ。さらにマクハル処理したことで、よりアドバンテージを得られたことは大きいだろう。ただし、レースで戦うならパンクリスクを考えてさらに太めのチョイスをしたほうがベターだ。レース中にメカニックサポートを得られにくいグラベルレースシーンではしばらくは太くて軽いタイヤがトレンドになることは間違いなさそうだ。
上っても上っても前は見えてこないハードコース
グラベルレースである以上、コースは舗装路を避けて走る。基本は農村を縫うように走るダブルトラックが基本的なルートだが、なかには湖の周りのキャンプ場や公園、なかには個人宅の裏庭を抜けて走るようなルートもあり変化に富んでいる。交通規制が少なくて済むのも今後のロードレースの未来を考えると新たな試みなのかもしれない。じつはイタリアでもロードレースのために大規模な交通規制をするのは難しいというのがここ数年の議論となっているからだ。 今回のレースの舞台、ベネト州はプロセッコでも有名なところ。今回プロセッコ通りと呼ばれるブドウ畑を走った。なかでも最大のハイライトはカデル・ポッジョ。ジロ・デ・イタリアでも登場する名坂で、プロセッコの原産地としても有名だ。メイン集団から大きく遅れて走っていると「ジャポーネか、プロセッコ飲んで行けよ」と誘われてしまった。「プロセッコは飲めないけど、記念撮影なら」ということでスマホを渡して、記念撮影してもらった。