[名良橋晃]パリ五輪で感じたスペインとの文化の差 U-23リーグの創設を提案
見え隠れしていた課題がスペイン戦で現象となった
パリ五輪のメンバーが発表され、オーバーエイジなしで臨むとわかったときは、世間と同じように私のまわりからも不安の声が聞かれました。しかし、半田陸や平河悠のケガなどいろいろなアクシデントがあるなか、無失点でグループステージを突破しました。監督、選手、チームスタッフは良くやったと思います。 大岩剛監督、羽田憲司コーチとは鹿島でともにプレイしたので、頑張ってほしいと思っていました。最後にうっすらと涙を浮かべている場面を見たときは、グッときました。お疲れさまと伝えたいです。 パラグアイ戦はケガ人が出たり、相手に退場者が出たりしました。そのなかで5点取ったのはポジティブな要素で、良い入りができました。続くマリ戦は少しスタメンを入れ替えて戦い、前半はある程度支配することができました。徐々に押されて後半は劣勢となりましたが、我慢するなか山本理仁がゴール前に走り込んで泥臭く決勝点を決めました。3月の強化試合で負けている相手にリベンジしての連勝であり、日本はだいぶ楽になりました。 先発の多くを入れ替えて戦ったイスラエル戦では、相手の時間があれば自分たちの時間もありました。そうしたなか、エースの細谷真大にゴールが生まれました。グループステージの3試合を振り返れば各選手が良さを発揮し、無失点で勝ち上がっています。素晴らしい成績での突破で、着実にチームが成長していった3試合でした。 そして、準々決勝のスペイン戦を迎えました。細谷の1ミリだけでなく、ゴールポスト、クロスバーにシュートが弾かれるなど、いろいろなことがありました。決めることができなかった印象が残ります。しかし、ここは正直に言わないといけないと思います。試合を通して考えると、力の差がありました。グループステージで見え隠れしていた課題が、スペイン戦では現象となりました。 基本となる部分、止める、蹴る、運び、スペースをどう使うか。これらをスペインはスムーズにできていました。日本は気になるボールロストをグループステージからしていて、スペイン戦では失点につながってしまいました。 また、スペインは中盤をダブルボランチにして日本の良さを守備で消してきました。この戦術で戦うというときに全員が同じ絵を描けていて、共通した意識を持って戦うという部分でもスペインがまさっていたと思います。 日本の選手は精いっぱいやりました。持っている力を出し尽くしたと思います。しかし、日本とスペインでは改めて“サッカー文化”が違うなと感じました。