「コンパクトにブォーン」大谷翔平が明かしていた理想のスイング「僕、野球盤をイメージしているんです。ああやって打てればいいのにって…」
9月19日、前例のない「50-50」を軽々と超え、自身初のポストシーズン進出を豪快に決めた大谷翔平。ドジャースで、そのプレーは変わったのだろうか。秋のロサンゼルスから、躍動の模様をお届けする。 発売中のNumber1105号に掲載の[現地ドキュメント]大谷翔平「次々と引き出しを開けて」より内容を一部抜粋してお届けします。<全2回の後編/前編へ> 【変わりすぎ写真】「ガリガリだったエンゼルス時代」→「大谷のう、腕が…“まるでハルク”」&“テレビに映らない”大谷翔平…ナンバー撮影の現地最新カットで一気に見る
「僕は差し込まれたホームランが好き」
右と左の違いはあったが、メジャーに挑んだ大谷が最初にイメージしたのがトラウトのスイングだった。構えてからの動き出しは遅く、ギリギリまでボールを見極める。思えばメジャーに来てすぐの頃、試合前の大谷は窮屈そうなバッティング練習をしていた。一切の反動を使わず、最小限の動きの中でコンパクトにバットを振ろうとしていた。身体の前方でボールを捉えれば気持ちよく遠くまで飛んでいくのに、あえて身体の近くまでボールを引きつけて窮屈に打つバッティングを心掛けていたのだ。その成果は次第に目に見えるようになってくる。芯を喰えば150m、芯を外しても120m飛べば、どちらもホームランになる。そういう練習を積み重ねてきたからこそ、ライトのポール際に運んだ今シーズンの41号ホームラン(8月24日、レイズ戦)のように片手で打っても、2号(4月5日、カブス戦)のようにチェンジアップに泳がされても、7号(4月26日、ブルージェイズ戦)のように詰まっても、すべてがホームランになる。 「僕は差し込まれたホームランが好きです。レフトに上がってもいいし、ライトに上がってもいい。なるべく身体に近いところまでボールを呼び込んで、そこで捉える。差し込まれたように見えたのに、あれっ、入った、というホームランが好きですね。前で捌いてホームランにできる、そのポイントからさらにもう一つ、二つ、身体の近くまでボールを呼び込んで、そこで打ったホームランが好きなんです」
「どこまで飛んだか眺めるのは楽しい」
46号は9月8日、酷暑のデーゲームで飛び出した。タナー・バイビー(ガーディアンズ)のチェンジアップにジャストでタイミングを合わせると、強くて速いスイングがボールを叩き潰した。ライン際へフックしながら飛んでいく打球はライトポールの手前で切れていくのが普通なのに、大谷の打球は描く弧がデカすぎるために切れるのがポールの向こう側になる。 実際、直撃した1955年のワールドシリーズ制覇を記念した看板はファウルゾーンにあった。大谷の打球の次元が違うのは、そもそも彼が持っている“絶対飛距離”が他の選手と違っているからだ。 「(飛距離へのこだわりは)もちろん、あります。それはもっとも大事なことだと思っています。子どもはそこだけを目指して打ってもいいくらいでしょう。遠くへ飛ばすのは僕も楽しいし、見ているほうも、どこまで飛んだのかなって眺めるのは楽しいじゃないですか」 そして47号は9月11日、カブスのサウスポー、ジョーダン・ウィックスが投じたやや内側のスライダーを、低い弾道のライナーで右中間スタンドへと突き刺した。あんな低いライナー性の打球がスタンドに突き刺さるのは、大谷が思い描く理想のスイングができているからだ。それが「コンパクトにブォーン」(大谷)とスイングすることだった。そのスイングを大谷はこんなふうに説明する。
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