3秒差に泣いた1年前、今回は主将が途中棄権のアクシデント…… 東京国際大学、チーム一丸でつかんだ2年ぶりの箱根駅伝
10月19日に開催された第101回箱根駅伝予選会で、東京国際大学が8位に入り本戦出場をつかんだ。昨年はわずか3秒差で逃した箱根路。楠木悠人主将(4年、小林)が途中棄権となるアクシデントの中、全員でつかんだ2年ぶりの出場権だった。 【写真】途中棄権したレース後、何度もチームメートへの感謝を口にした楠木悠人主将
主将が途中棄権のアクシデントも、11人がしっかり走り切る
東京国際大は昨年の予選会で、5000m、10000mの日本学生記録を持つリチャード・エティーリ(2年、シル)が転倒するアクシデントがあった。100回記念大会で13校が予選会から出場できる中、13位と3秒差の14位となり、選手たちは涙をのんだ。 箱根駅伝予選会から3週間後の全日本大学駅伝では、「後輩たちのために」と4年生が奮起し、8位入賞でシード権を獲得。いつもより早く次の年度の準備が始まり、選手たちは箱根駅伝出場権獲得のためにこの予選会に目標を定め、練習を重ねた。 レース当日は日差しが強く照り付け、湿度が高く気温も9時の時点で23度を超え、夏に逆戻りしたような気候だった。選手たちは集団走の形はとらず、各自でレースを進めていった。しかし駐屯地を出る手前、8kmの給水ポイントの付近で楠木が転倒し、そのままレースに復帰することができず搬送されてしまった。 エティーリは先頭の留学生集団につきレースを進めたが、10kmを過ぎたぐらいから差し込みが来てしまい、痛みをこらえるような走りになった。それでも最後はしっかりと振り絞り、11位でゴール。次いで31位に佐藤榛紀(4年、四日市工業)が入った。上位6人までが100位以内に入る健闘。結果発表時に8位で東京国際大の名前が呼ばれると、選手たちは全身で喜びを表現した。
チーム力を高め、戦う機運を高めて
レース後の取材に対応した中村勇太ヘッドコーチは「本当にスタートラインに立ててよかったです」とホッとした声で口にした。中村コーチは8kmの給水ポイントで選手を見送ってから沿道で応援するつもりだったが、楠木がふらふらになって倒れて途中棄権となったのを見た。「それ以外の選手11名がしっかり走っていましたので、その選手たちを信じつつ……楠木の体調も非常に心配でした。ゴールしてからは『これは通ったのでは』という感覚があったので、まず楠木のところに行って、一緒に医務室で結果発表を聞きました」 昨年本戦出場を逃したあと、チームにタフさが欠けていたと気づいたという。それを克服すべく、条件のいい平坦(へいたん)なところだけで練習をするのではなく、アップダウンの多いところ、日差しの強いところなどをあえて選んだ。風が強かったり湿度が高かったりと練習には適さない条件だとしても、練習の時間帯をずらさず厳しい環境の中で走らせるなど、昨年とは少しずつ取り組みを変えてきた。 一昨年まではA・Bチームに分かれ、Aチームの最後の合宿で北海道に行き仕上げるという形を取っていたが、昨年は創部以来初めて北海道での合宿を行わなかった。選手たちからは「北海道でチーム力を高めて、『俺たちが戦うんだ』というAチームの結束を作りたい」という言葉があり、今年は北海道合宿を復活させた。 10日間の合宿では、「このメンバーで戦うぞ」という意識づけをしっかり行ってきた。予選会の日に近い気候で21km走を実施し、そこである程度我慢して走り切れた選手を今回のメンバーに選抜。「そこでよかった選手は(今回も)しっかり走れて、ある程度狙い通りだったかなと思います」と中村コーチは話す。