CS第6戦で「巨人が負けた」と思った瞬間…最後の最後に出た阿部監督の「解せない強攻策」【柴田勲のコラム】
「調整が難しい」は理由にならない
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CSの最終ステージ第6戦で3位のDeNAに2対3の逆転負けを喫し、3勝4敗で4年ぶりの日本シリーズ進出を逃した。DeNAに下克上を許した。まったくもって残念だ。 今年は巨人創設90周年の記念の年、1勝のアドバンテージがあるし、DeNAには16勝8敗1分と勝ち越している。それがフタを開けてみれば、初戦からいきなり3連敗、それから2連勝したものの、あと1勝が遠かった。 リーグ優勝を決めたのが9月28日、最終戦は10月2日だった。 最終ステージまで2週間も空いて調整が難しかった。一部にこんな意見があるようだが理由にならない。1勝のアドバンテージはそのためのものだし、巨人より先に優勝したソフトバンクは最終ステージで勢いのある日本ハムを3タテで一蹴した。 最終ステージの第6戦、巨人が2点を先行した。これはいけるかもと見ていた。相手のミスに付け込み、またセーフティースクイズで挙げたものだ。もらったようなものだ。 先発した戸郷翔征が5回に3連打を浴びて同点となったが、これはしょうがないし、阿部慎之助監督は中3日の菅野智之を同点の8回からマウンドに送り、回またぎとなった。 牧秀悟に9回、決勝のタイムリーを浴びたが、引き分けでもシリーズ進出は決まる。3回は投げさせて、あとは大勢でと考えたのだろう。
最後の最後に来て……解せない強攻策
だが、この過程で解せないことがあった。 8回裏、無死から坂本勇人が伊勢大夢から右前打で出塁、願ってもないチャンスだ。次打者は中山礼都だ。間違いなく送りバントと思った。誰が見てもそうだろう。ところが、中山は1-2から打って出て右飛に倒れた。強攻策だった。 アッ、負けたと思った。 ここは送りだ。まず坂本に代走・増田大輝を起用する。DeNAに対してプレッシャーになるし、転がしておけば、野選になることが怖く、まず二塁には投げない。 坂本が引っ込むことになるが、増田が代走ならDeNA外野陣は前に来る。ポーンと上 げた打球が頭を越える可能性もある。得点圏に走者を送れば何が起こるか分からない。 中山は第5戦で決勝の本塁打を放ち、この日も2安打していた。阿部監督は期待したのだろう。でも局面が局面だ。1軍半の中山には荷が重い。DeNAは助かった。 対照的にDeNAは9回、同じ局面でバントを決め2死から牧の決勝打を呼び込んだ。 阿部監督はシーズン中、もっと伸び伸びやらせればいいのにと思う場面でバントやセーフティースクイズを命じていた。だが最後の最後にきて……分からない。中山に送らせていれば、9回表のピンチを招かなかったとさえ思う。