実現は可能?「日韓海底ケーブル」プロジェクトとは
計画は進んでいる?
情報だけかいつまんでみると、日本で最も成功したビジネスマンとして韓国でも有名な孫正義氏が、海底電力網に関心を示したことで、根拠はありそうに見えます。しかし、実は中央日報の記事に対して韓国電力関係者が「日韓海底電力網を推進している事実はない」という報道もあります。また、仮にそのような事業が計画中、もしくは推進するとなっても、政治的に冷え込んでいる現在の日韓関係の元では、ハードルが高いでしょう。エネルギー事業は国家の柱であり、アイデアが秀逸だからスムーズに計画が進むというのは、いささか短絡的過ぎると言わざるをえません。 本稿で、中央日報の記事の信憑性を検証するのは不可能です。しかし、国家間レベルで莫大な投資が必要となる「エネルギー事情」という視点からすると、中央日報の記事だけでは、具体的な内容にも乏しく、単なるアイデアの段階なのかもしれません。 そもそも、「日韓海底送電網プロジェクト」は、2012年以前からも議論されてきました。しかし、現在までに、国家間の政治や経済などの利害関係が大きな壁となり、アイデアの状態に留まっているのかもしません。 (高英起/デイリーNK東京支局長)