英キャサリン妃に「影武者」説も 病状巡る臆測「制御不能」
ウィリアム英皇太子(41)の妻キャサリン妃(42)は2024年3月22日、動画を公表し、がんと診断され治療を受けていることを明らかにした。キャサリン妃は1月16日、ロンドンの病院で腹部の手術を受け、29日に退院した。ただ、病名や症状は明らかにされず、王室は「(3月末の)イースター(復活祭)明けまで公務に戻らない」とだけ発表。このため、同妃の病状を巡ってさまざまな臆測が流れ、メディアは「制御不能」(英紙)な状態に陥っていた。(時事通信社ロンドン支局 佐藤信人) 【写真】キャサリン妃らの写真で加工されたとみられる点
国王が煙幕に?
キャサリン妃の健康に関する情報は、いつもチャールズ国王(75)の情報と同じタイミングで発表された。同妃が手術を受けた時は、国王が翌週、前立腺肥大の治療を受けることが明らかにされた。そして、国王と同妃は同じ病院に入院し、同じ日に退院した。 ただ、国王がカミラ王妃を伴い、病院出口から車まで徒歩で移動。待ち構えた市民らの歓声に笑顔で手を振って応えたのに対し、キャサリン妃はひっそりと病院を出て、ロンドン近郊ウィンザーの自宅に戻った。偶然の一致なのではあろうが、国王が煙幕のような役割を果たしていたとも解釈できる。 2022年9月にエリザベス女王が死去して以来、キャサリン妃は王室で最も注目される女性となった。それだけに、姿を現さない同妃の動向は、既存メディアにとってもソーシャルメディアにとっても格好の標的となった。 キャサリン妃の姿が術後初めて捉えられたのは2024年3月4日。パパラッチが撮影した写真だった。同妃の母親が運転する車の助手席に、サングラスをかけて座っている様子が写っていた。
診療記録に不正アクセス
ここから同妃の情報は迷走を始める。英陸軍は3月5日、キャサリン妃が6月に催されるチャールズ国王の「公式誕生日」を祝う行事に出席すると公式サイトで発表し、チケット販売を始めた。術後初めて確認された公務日程だったが、事前に王室の承認を得ていなかったとして、同日中にサイトから削除された。 そして、王室が3月10日にX(旧ツイッター)で公開した写真が大きな問題に発展する。写真はウィンザー城で皇太子が撮影したもので、キャサリン妃を3人の王子・王女が囲み、カメラに向かって笑う様子が写っていた。同妃の病状を巡る臆測に終止符を打ちたいという、王室側の思惑があったことは想像に難くない。 だが、事態は思わぬ方向に動きだす。写真に「加工」の形跡があるとして、ロイターやAFP、APなどの各通信社が、いったん配信した写真を取り消したのだ。キャサリン妃は翌日、写真を編集した事実を認め、「混乱を生じさせた」と謝罪したが、「加工」する前の写真が公開されなかったこともあり、臆測に火に油を注ぐ形になった。 その後、3月16日に皇太子と一緒に地元の店を訪れた動画が、英紙のサイトで流された。皇太子と談笑する様子からは、順調な回復ぶりとも受け取られたが、ネット上では「影武者説」も登場し、疑心暗鬼は収まらない。ついには、キャサリン妃が入院していた病院で、職員が妃の診療記録に不正アクセスしようとした疑いまで発生した。