ネットで話題の韓国射撃選手、人気沸騰も本人は冷静 AFPインタビュー
だが、インターネットで話題になった超然としたスタイルは、本人にとって自然なやり方なのだという。「性格的には、せっかちなタイプ」で、もともと集中力を欠く面があったが、視線を一点に据えるといいというアドバイスに従ったところ、集中力と落ち着きが増したのだそうだ。今では「腕はもう単なる腕ではなく、すべて銃の一部」になったという。
五輪を終えて帰国すると、取材の申し込みが殺到し、ルイ・ヴィトンなどのブランドからのモデルの仕事も舞い込んだ。さらにはショートムービーの暗殺者役で俳優デビューも飾った。キム自身、愛する競技の認知度が高まるという点で、注目されるのは「ありがたいし、うれしい」と語っている。
その一方で、家族に支えられながら謙虚な姿勢も保っている。キムは笑いながら「父は、銀メダルを取った直後だからみんな少し大騒ぎしているのだろうと言っていた」と話し、6歳の娘からも「お母さんは金メダルを取れなかった」とよくからかわれると明かした。
トップ選手としての生活と、有名人としての活動とのバランスは、今のところ取れている。週に5日の練習に励みながら、写真撮影やインタビューは空いた時間にこなしている。今の目標は2028年のロサンゼルス五輪で金メダルを獲得すること。自身の選手としてのピークはまだこれからだと信じている。
射撃では年齢よりも技術、準備と努力が重要だと語るキムは、「去年と今年は自分にとって最高のシーズンだったけど、引き続き努力を怠らなければ、いいパフォーマンスを続けられる」と話し、50歳まで現役でいたいと口にした。
映像が話題になったことで、「ただのキム・イェジではなく、射撃選手のキム・イェジとして見られるようになった」というキムは、「活躍を続けて、『射撃選手』という言葉も定着させたい」と願っている。
キムはこのインタビューが行われた翌月の11月、競技から一時休養することが発表された。代理人は、選手生活と注目度の増加による疲労や、家族との時間を取ることが理由だと説明。引退したわけではなく、現在は復帰時期について話し合っていると述べている。【翻訳編集】 AFPBB News