有名人であることは罪? デヴィッド・ボウイの言葉を振り返る。
2016年、69歳の誕生日を祝ったその2日後の1月10日にボウイは亡くなっている。今年2024年1月8日、誕生日の日に、パリの13区のオーステルリッツ近くに、デヴィッド・ボウイ通りができている。ボウイはそれほどパリとゆかりがあったのだろうか。それは知らないが、墓のないボウイにとって、その通りがデヴィッド・ボウイの聖地のひとつになるのかもしれない。英国以外で、国外での初のパフォーマンスをしたのがパリだそうで、それが通り誕生の理由だという。 生前あらゆることを美意識で貫いた遺言を残していたボウイは、自分をすっかり消滅させたいと願っていて、散骨にしてほしいといっている。そして火葬の際も、散骨する時も、家族は立ち会わないように、と厳命している。 だから墓地も存在しないのだ。ボウイにとって、ファンたちが花束を抱えてやってくる姿を想像するのは、耐え難く重たいことだったからだろう。ボウイは永遠にクールなダンディだった。
デヴィッド・ボウイ 1947年、ロンドン生まれ。1969年、映画『2001年宇宙の旅』をモチーフにしたアルバム『スペイス・オディティ』が大ヒット。72年にコンセプトアルバム『ジギー・スターダスト』を発表、グラムロック路線を確立する。76年には初の主演映画『地球に落ちてきた男』も公開、俳優としても活躍した。00年代後半、病気療養後は表舞台への露出が減るが、13年に新曲「ホエア・ウィー・ナウ?」で復帰。16年、最後のアルバム『ブラックスター(★)』発表から2日後、肝がんにより逝去。 photography:Iconicpix/Aflo
村上香住子