空前の神社巡りブームが来る!東京周辺「初詣」名所案内・中編…2025年は「巳年」、蛇の御利益を求めて「辨財天」「蛇窪神社」「北関東二社」
神社巡りブームの中、初詣のシーズンが始まった。今年は「巳年」。中篇では蛇で注目を集める神社を紹介する。 【写真】東京周辺初詣名所案内・後編…もう一つの主役「お守り」で人気の神社はここだ
2025年は巳年です
干支というものは、神社のご利益と強く結びつけられているが、2025年は巳年である。蛇は、脱皮をくり返すことから、再生に結びつくとされ、不老不死だけではなく、金運をもたらしてくれる存在と見なされている。 実は私も巳年の生まれで、2025年は年男ということになる。私も寄稿している『一個人』という雑誌では、1月号が開運特集で、そのなかで、蛇と深く結びついた神社が紹介されている。 その代表は、すでにふれた奈良の大神神社である。この神社には、三輪山伝説が伝えられてきたが、祭神である大物主大神の正体は蛇なのだ。
巳年だから…蛇窪神社、辯財天
東京周辺でも、蛇を祀るところとして、品川区の蛇窪神社がある。主たる祭神は天照大神だが、境内には白蛇辨財天社があり、そこでは白蛇大神が祀られている。この神社では、むしろ白蛇辨財天社が売り物になっている。 社伝によれば、鎌倉時代、本殿の横に清水の湧き出る洗い場があり、そこに白蛇が住んでいた。ところが、洗い場がなくなったことで、白蛇は近くの戸越公園の池に移ってしまった。しかし、村の有力者の夢に白蛇が現れて戻りたいと懇願したので、宮司が池を掘り、辨財天社を建立したというのである。 辯財天は、もともとはインドの神であるサラスヴァティーだった、それが仏教に取り入れられ、日本に伝えられると、蛇の神である宇賀神という蛇神と習合することになった。それが宇賀辯財天で、これは蛇体である。 『一個人』では、辯財天を祀るところとして、上野の不忍の池にある不忍池辯天堂も紹介されている。そこで祀られる辯財天は、毎年9月の「巳成金大祭」でご開帳になる。
そして北関東なら、赤城神社、二荒山神社
関東周辺で、蛇に関係する神社として紹介されているのが、群馬県の赤城神社と栃木県の二荒山神社である。 赤城神社では、毎年5月の第2金・土曜日には「大蛇祭り」が行われる。その際には、長さ108メートルにも及ぶ長い蛇の神輿が登場する。 二荒山神社は江戸時代までは日光東照宮や輪王寺と一体の関係にあったが、大谷川にかかる神橋は二荒山神社の建造物である。この橋には伝説がある。日光を開いた勝道上人が大谷側にさしかかったとき、激流を渡れず、困っていた。そこに深沙大王という神人が現れ、手に持っていた赤と青二匹の蛇を放つと、それが対岸とを結び、虹のように橋がかかったというのである。 赤城神社と二荒山神社には、ムカデに変身した赤城山の神と、大蛇に化身した二荒山の神が日光戦場ヶ原で戦ったという伝説がある。どちらの山の神が白蛇なのかでは論争があるようだが、こうした神社が蛇と結びつけられるのは、利根川や鬼怒川、さらには中禅寺湖といった水源に恵まれているからである。龍神は雨をもたらすと考えられてきた。 人気の「お守り」。そして、神社巡り健康法。今の神社ブームを引っ張る、もう一つのアイテムを後篇「もう一つの主役、「お守り」で人気の神社はここだ」で紹介する。
島田 裕巳(宗教学者・作家)