与党惨敗で政治情勢は不透明 日銀の利上げシナリオ【Bizスクエア】
――企業は円安がいいというが、中小企業にとってはそうではないということか。 東短リサーチ 社長 加藤出氏: 自分で輸出している中小企業は少ない。その点では今の水準は大変収益上は打撃。しかも日本のサラリーマン、ビジネスパーソンの7割は中小企業に勤めているから、その点でも賃金と物価の好循環は中小企業においては起きにくくなってしまっている。 ――依然として家計部門や中小企業から、輸出大企業や政府部門に「所得移転」が起きている? 東短リサーチ 社長 加藤出氏: 巨大な「所得移転」が起きている。だから大企業中心の日経平均は上がる。ただそれは決して日本経済全体を表しているわけではない。やはり低すぎる実質金利というものをもう少し修正していかないと、非常にアンバランスな状態になっている。 さらに「購買力平価に対するドル円の乖離」。つまり購買力平価で見た為替レートから実際のレートがどれぐらい乖離しているかというグラフを見ると…。 東短リサーチ 社長 加藤出氏: 「購買力平価」はアメリカと日本の物価水準が大体同じになるレートとそれに対して実際のレートがどれだけ離れてるか。上に行くと応援が割安、下が割高。今の152円というのは1970年と同程度なので、1ドル360円時代と同じぐらい実際は円の価値が弱い。仮に1ドル120円まで円高に行ったとしても、1973年と同程度なので、半世紀ぶりというぐらい、いかに今150円台の円というのは弱い。 ――考えてみれば7月に日銀が追加利上げしたときよりも今の方が円安になり、何のために利上げしたのかという感じだ。 東短リサーチ 社長 加藤出氏: 日本銀行が前の緩和策以来、膨大に国債を持っている。これを急に減らすことができない、国債の金利が急に跳ね上がることを避けたいということで慎重に運営してきているので、海外との金利差がなかなか縮まらないことからの円安。 ――いよいよ大統領選挙の結果が出るが、仮にトランプ大統領が当選することになるとまた円安圧力が強まるということもあり、やや心配になってくる。
東短リサーチ 社長 加藤出氏: ただ一方で、アメリカは今好調だが、まさにトランプ第2次政権に大規模財政拡張で、インフレ気味になると、FRBの利下げが思うように進まないのではないかという不安がアメリカの企業経営者の間で高まってきているので、ある程度のバランスをとってほしいところではある。 (BS-TBS『Bizスクエア』 11月2日放送より)
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