「すべての経費を止めろ」ツイッター大変革のためにイーロン・マスクがとった「常識破り」の行動とは?
■ 土曜の「コスト見直し会議」 イーロンは、土曜日に6時間くらいかけてコストの見直しをしたこともありました。すべてのコストを一行一行精査していく。そして、その都度、関係者が呼ばれるわけです。私もたまに呼ばれたのですが、「えっ? イーロンが自分でずっとこれやってるの?」と驚きました。「土曜はゴルフに行くんですけど」という社員もいましたが、さすがに言えない。「そんなのキャンセルしろよ」という空気でした。 買収されてから、Twitterは過去の負債を怒濤(どとう)の勢いで返済していきました。その中身は、大胆な人員削減と、大幅なコスト削減。イーロンからは「500億をコスト削減しろ」という短期目標が課されました。チームはそれを達成するべく、なりふり構わないやり方をしました。 経費の「未払い」などはさすがにまずかったと思いますが、一方でかなりの短期間で大幅なコスト削減が実現したわけで、Chapter1でお伝えした「いったん極端にふってから調整する」が功を奏したのも事実なのです。 ■ 現状把握するため大量に質問する 最初の頃は、イーロンからたくさん質問をされました。 事前の調査をあまりせずに買収していたから、というのもあったのでしょう。イーロンは大改革を起こそうとしていましたが、それにあたってはまず現状を理解する必要があります。現状を把握するため、細かいものから大雑把なものまで、たくさんの質問が飛んできました。 なかでも多かった質問は「人」に関するものでした。「彼は何をしているの?」「彼の働きぶりはどうなの?」といったことをこまごまと聞かれました。それはやはり「社員の数を約半分に減らす」という彼の当初の目的のためでしょう。 ただ「どの組織を、どういうふうに縮小するべきか?」は、ほとんど私たちに相談はありませんでした。だから、いきなり広報部門全員が解雇の対象になったことも想定できていませんでした。いつのまにか、一気にいろんな組織が消えていったのです。そこに対する説明は特にありませんでした。 彼のなかに、どんな改革の構想があるのか? その全体像がどうなっているのかはわかりません。ただ少なくとも「こうやるんだ」ということは決まっていて、どんどんその決断だけが降りてくるというかたちでした。