「母ちゃんこのバイクならどう!?」 ホンダの超カワイイ「ママさんバイク」の系譜 自転車みたいな“ラッタッタ”
もう一つの系譜「細いフレーム系」
時代は前後しますが、ロードパルの大ヒットによって「細いフレーム系」のファミリーバイクも、少しずつ進化・派生モデルがリリースされていきました。 ●パルホリデー&パルディン(1978年) 1978年発売の「パルホリデー」「パルディン」といったモデルは、ファミリーバイクのカテゴリーにありながら、ロードパルよりもアクティブになった印象で、どことなくレジャーバイクの要素が入ったモデルでした。特にパルディンは、マウンテンバイクのような雰囲気もあり、今見てもなかなかカッコ良く感じます。 しかし、ユーザーにとってみれば、前述のバリエのように「何用のバイクなのかがいまいちわからない」と受け取られたのか、ヒットには至らず発売初年モデルのみで、やがて姿を消していきました。 ●パルフレイ(1978年)&ハミング(1980年) また、ロードパルの系譜を持ちながらも、バリエ・シャレット・カレンのような低床の要素を取り入れた「パルフレイ」も1978年に登場。曖昧に受け取られぬよう発売時には「奥様向けホームバイク」と謳われ、安定した支持を得るようになりました。 後にパルフレイは1980年登場の姉妹的モデルの「ハミング」にその座を譲る格好となり、そのままフェイドアウト。 ※ ※ ※ ここまでのホンダのファミリーバイクの変遷を振り返ると、かなりカオスに入り組んでいるようにも感じますが、女性ユーザー獲得を目指し、ホンダが模索し続けていた結果だといえば、おおいに納得することができます。 また、ロードパル、ハミング生産終了以降も、ホンダがファミリーバイクを完全にやめたわけではなく、1981年登場のシャリイ(シャリィ、シャリーとも)を後にファミリーバイクのカテゴリーの位置付けたり、1984年には、改めてモペットタイプの「ピープル」をリリースしたりと、女性ユーザーに寄り添うモデル開発を続けていたことがわかります。 1960年代後半以降、今日に至るまでホンダが取り組んだ「女性ユーザーの獲得」の変遷もまた、模索を繰り返しながらも日本のバイク市場を牽引した歴史と言って良いかもしれません。 そして、その象徴的バイクはやはり「ラッタッタ」ことロードパル。いつか、もう一度だけでもまたがってみたいものです。
松田義人(ライター・編集者)