【葵S】桜花賞5着エトヴプレの取捨がカギ 好走馬多数輩出の橘S組は勝ち馬より2着ペアポルックスに注目
上位人気も人気薄も走る
夏のサマースプリントシリーズを前に3歳スプリント戦線のナンバーワンが決まる。翌日のダービーでは世代の頂点を決するが、ここにはまた別の戦いがある。 【オークス2024 推奨馬】勝率40%、複勝率80%データ該当で死角なし! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 進む道がひとつとは限らないのは競馬のよさ。ダート三冠も生まれ、各カテゴリーにわかれた戦いは、まさに多様性につきる。それぞれに栄光が待っている。短所を見つめるのではなく、長所を伸ばせば、そこに道ができる。ダービー前日の葵Sは私たちにとって励みとなるレースだ。 データは重賞昇格後、過去6年間(21、22年中京を含む)を使用する。 3歳限定唯一のスプリント重賞となれば、当然、短距離を極めてきた猛者たちが集う。メンバーレベルが高い年が多く、1番人気【3-0-1-2】勝率50.0%、複勝率66.7%、2番人気【0-2-1-3】複勝率50.0%と上位人気は強い。きっちり仕上げて臨むここは、やはり落とせない。 一方で9番人気【1-1-1-3】勝率16.7%、複勝率50.0%など人気薄もがんばる。3歳スプリントはこのレースでようやく勢力図がみえてくるだけに、人気の盲点になる隠れた実力馬もいる。先物買いで大きな馬券にありつきたい。 短距離は2歳夏から多くレースが組まれるのも特徴。特にオープン特別は夏場から施行されることもあり、総じてレース経験は多い。 キャリア別でも5戦【2-1-3-15】勝率9.5%、複勝率28.6%、6戦【2-2-1-17】勝率9.1%、複勝率22.7%を中心に7、8戦ないし、10戦以上まで好走馬を出す。6月デビューでも、6戦となると2カ月に1走の割合であり、数を使われてもへこたれないタフな馬が強い。
エトヴプレの取捨
今年もエトヴプレ、オーキッドロマンス、ナナオ、ピューロマジックなどキャリア豊富な馬たちが上位人気候補。クラシックへ進んだ馬と一貫して短距離を進んだ馬との力関係など見定めるべきポイントは多い。 前走GⅠ【1-1-1-5】勝率12.5%、複勝率37.5%のうち、桜花賞は【1-1-1-3】。出走したのはすべて10着以下馬であり、5着エトヴプレは実力間違いなしととるか、それともマイル戦5着直後のスプリント戦で流れに戸惑うとみるか。ここは見極めよう。 中心になるのは前走オープン・L【3-4-2-33】勝率7.1%、複勝率21.4%だろう。内訳は前哨戦的位置づけの橘S【2-3-0-18】勝率8.7%、複勝率21.7%とマーガレットS【1-1-2-11】勝率6.7%、複勝率26.7%が目立つ……というよりほぼここから好走馬が出る。 前走橘Sは3着以内【2-1-0-5】、6着以下【0-2-0-7】で好走凡走を問わない。1、2着のガロンヌとペアポルックスが候補。距離短縮なら、先行して2着ペアポルックスの逆転も面白い。連勝した冬の小倉芝1200mはそれぞれ前半600m33.2、33.4。重賞を押し切れるだけのスピードは示した。 前走マーガレットSは1着【1-0-1-1】、5着【0-1-1-0】で2~4着が【0-0-0-5】。サンプル数が少ないので、傾向とは断言できないが、勝ったナナオは評価しよう。 函館2歳S2着、阪神JF12着と戦歴は明らかにスプリンター。マーガレットSは重馬場で前後半600m34.1-35.3とタフな流れを押し切った。小さい馬体ながらパワフルな走りをする。良馬場の高速決着になった際は微妙だが、1200mなら大きく崩れないだろう。 最後に前走1勝クラス【1-1-2-21】勝率4.0%、複勝率16.0%について。距離で見ると、1200m【1-1-2-17】、1400m【0-0-0-4】でスプリント経験が上。さらに1200mで逃げた馬【0-0-0-5】、先行【1-1-1-4】と、重賞を勝つには抑制のきいた走りが求められる。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳