「専門家」と名乗る怪しい人を見抜くには? 搾取ビジネスに騙されない方法
「専門家が言っている」「引用元が明記されている」...このような条件を満たしていても、その情報が確実に正しいものだとは言い切ることができません。搾取ビジネスの罠にかからないためには、とにかく「裏通り」することが大切です。行政書士の服部真和氏による書籍『できる社長のお金の守り方』より解説します。 節税アピールには注意...不動産投資で“不利な物件を買わせる業者” ※本稿は、服部真和著『できる社長のお金の守り方』(秀和システム)より、内容を一部抜粋・編集したものです
知らないことを恥じるな。謙虚でいれば救われる
洋の東西を問わず、大昔から名を馳せた賢人の多くが、知らないことは恥ではないと説いてます。 西洋哲学の基礎を築いた古代ギリシアの哲学者ソクラテスは、当時の知識人たちと問答を繰り返した結果「自分に知識がないことに気づいた者は、それに気づかない者よりも賢い」という意味の「不知の自覚」という表現を残しています。 また「論語」で有名な古代中国の哲学者・孔子も「知っていることを知っているとし、知らないことは知らないこととする。これが知るというなり」と、まさにソクラテスと同じ「不知の自覚」を説いています。 シェイクスピアも『お気に召すまま』という作品に「愚か者は自身を賢者だと思い込むが、賢者は自身が愚か者であることを知っている」という一節があります。 このように「知らないこと」を恥じる必要はなく、むしろつねに謙虚に「自分の知識や判断は正しくない」と考えるようにするほうが、様々な場所に潜む罠を回避することができるはずです。 厄介なのは「自分は大丈夫」と思い込む人が、ろくに「裏取り」もせずに、搾取ビジネスの罠にかかってしまうことです。こうなると、出会ったものが搾取ビジネスであることに気づかず、搾取され続けることとなります。そればかりか、自らも加担していることに気づかずに搾取行為を支援してしまうこともあります。 たとえば、マルチ商法(連鎖販売取引)は、上の人だけが儲かる仕組みです。必死に商材を広げている層(下の人)は利益ではなく、自分が扱っている商材が本当にいいものだと信じて、他者に勧めていることがあります。 これは善意からの行動ですが、その善意が搾取を助長してしまっていることに本人が気づいていません。そういう人は「自分は大丈夫」と思っていますが、じつは大丈夫どころか、搾取ビジネスを拡大させるという最悪の状態に陥っているわけです。 まずは「自分の知識や経験は確かなものではない」と知ることです。そして、それを日ごろから認識することです。これが習慣となり、本当の謙虚へとつながります。