「チケット代は22万円」「服装は超ミニのプリーツスカートで…」日本とこんなに違う、多様すぎるアメリカの音楽フェス事情!
今アメリカでアツいフェスは?
中村さんによると大型フェスが流行から飽和状態を経て過渡期を迎える反面、ある特定の年齢層に向けたフェスや音楽ジャンルを絞ったフェスも増えてきているという。 「最近ルミネート(旧ニールセン・サウンドスキャン。アメリカのマーケティング会社)が、世代ごとにライブに使っている金額の統計を発表して、1位が15歳から27歳のZ世代、2位が44歳から59歳のX世代、3位が28歳から43歳のミレニアム世代、4位が60歳から78歳のベビーブーマーだったんです。 なのでフェスで最大公約数を集めようとすると、メインストリームであるポップ、ヒップホップ、それから女性アーティストやラテン系、K-POPなどが自然と増えます。 ただ、コーチェラは今年のチケットが数年ぶりにソールドアウトにならなかったんです。ヘッドライナーが弱かったというのもあるけど、コロナ禍前まではフェスも単独ツアーもすごい勢いで盛り上がり続けていたのが、コロナ期の停滞を経て、それを取り返そうと空回りしてるという気がしなくもありません。 でもX世代、90年代に音楽聞いてた人たちは、統計でも出ているように今もライブに行く傾向が強いから、パンクロックバンドばかり集めたウェン・ウィ・ワー・ヤングとか、イギーポップが好きな人はこういうバンドも好きだろうっていうラインナップを集めたフェス、クルー・ワールドとか、合わせ技的なものも出てきて、それはそれで成功しているんです。 多くのフェスの観客の中心は20代ですけど、ヘッドライナーにロックバンドが出ると急に年齢層も上がるんですよね。50代、60代に。その世代の人たちは子供も連れてくるから、ファミリーみんなで楽しんでいます」 「私は毎年ひとつは新しいフェスに行くことにしていて、去年はタイラー・ザ・クリエイター(数々の音楽賞を受賞している音楽プロデューサー&アーティスト)が10年くらい前から手掛けているフェス(キャンプ・フログ・ノー・カーニバル)に初めて行ったんですけど、彼のおしゃれさと遊び心が隅々までわかるような空間ですごく楽しかった。 今年は、去年ラナ・デル・レイやボーイジーニアスが出たオール・シングス・ゴーという女性アーティストとクィア系のフェスを楽しみにしてるんです。去年が初年で、チケットは即完だったので、今年は開催地を増やしました。LGBTQやクィア文脈で人気のミュージシャンが出るフェスが今アツいんですよね」 フェス文化が盛り上がる日本だが、大衆向けのアーティストが出演する最大公約数的な音楽フェスが増えているだけで、どのイベントの出演者も同じ顔ぶれという気もしなくもない。フェス文化が根づいた今、これから個性的なラインナップが増えれば、日本のフェスももっとおもしろくなると思う。 取材・文/高田秀之 写真/中村明美
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