不動産会社の経営者が教える! 家族とコミュニケーションが取りにくい「よくあるNG間取り」とは?
物件探しの際、知っておくと助かるトピックをご紹介します。『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)の著者であり、5000人超の女性たちの「幸せになれる家選び」をサポートしてきた「ことり不動産」代表の石岡茜さんに、マンションの間取りでもっとも多く、一般的と言われる「田の字型」の間取りについて教えてもらいました。特徴、メリット、デメリットとは? ぜひ物件探しの参考にしてください! 【保存版】マンションでもっとも多い「田の字型」間取りの特徴は…家族とコミュニケーションが取りにくい「よくあるNG間取り」まとめはコチラ
マンションでもっとも多い「田の字型」間取りで気をつけるべきポイントとは
――「田の字型」とはどのような間取りのことですか? 石岡 マンションの間取りを大きく分けると「田の字型」「センターイン型」「ワイドスパン型」という3種類になります。そのなかでもっとも多く採用されているのが「田の字型」です。 漢字の「田」のように、上下左右に部屋が分かれる間取りのこと。玄関から続く廊下の左右に1部屋ずつ、廊下の先にリビングと、リビングの隣に1部屋あるような3LDKが一般的で、多くのマンションで採用されています。 ――この間取りには、どんなメリットがありますか? 石岡 画一的な設計になっているため建築コストが抑えられ、他の間取りに比べると価格が低い傾向にあります。また、最も一般的な間取りのため、物件数が多く、選択の幅が広いです。 その他、キッチン、バス、トイレ、洗面所など、水回りの設備が中央に集まっていることが多いので、水回りの手入れやメンテナンスがしやすく、トラブルが少ないのも特徴です。 また、廊下によって各部屋が隔てられているので、夫婦の仕事部屋、子ども部屋などとして利用でき、家族のプライバシーを保てるのもメリットと言えそうです。 ――それでは、デメリットを教えてください。 石岡 下記にまとめて紹介しますね。 デメリット1 採光性に欠けた部屋がある 「田の字型」の間取りは、リビングがバルコニーに面しているため、リビングの日当たりがよい傾向にあります。その一方で、共用廊下に面した2部屋にはほとんど日が入らないのが大きなデメリットです。 とくに地下や1階であれば、湿気やすくカビやすい場合も。通気のために窓を開けておけばいいと思うかもしれませんが、共用廊下と接しているため、外から室内が見えてしまう場合もあるのです。 共用廊下を挟んだ向かい側に階段やエレベーターなど光を遮るものが少ない部屋を選ぶ、またレースカーテンやブラインド等を使ってプライバシーを確保する、といった対策が必要になります。 デメリット2 廊下がデッドスペースになりがち 「田の字型」の間取りは、玄関から突き当たりのリビングまでの長い廊下があるのが特徴。他の間取りと比べると廊下が占める面積が大きくなる傾向にあります。 そのため、専有面積のわりに部屋の面積が狭くなったり、廊下がデッドスペースになってしまったりする可能性が高くなります。 掃除機など各部屋で使うアイテムをしまう収納スペースとして活用できる場合もありますが、廊下が無駄な場所になっている物件も多いです。 廊下の広さや長さが適切かどうか、収納場所として活用できるかなど、しっかり見極めてから選ぶようにしてください。 デメリット3 家族間のコミュニケーションが取りづらい 各居室が廊下を挟んで独立しているため、家族間のプライバシーが保ちやすいのは「田の字型」の間取りの大きなメリットです。 その一方、家族間でのコミュニケーションが取りにくくなるといったデメリットもあります。 リビングを通らずに子ども部屋に入れてしまう間取りのため、とくにお子さんの様子をチェックできなくて心配……といった声もよく聞きます。 家族間でのコミュニケーションを大切にしたいのであれば、別の間取りのほうがおすすめかもしれません。
<教えてくれた人> 石岡茜さん。2013年に「女性のための不動産会社を作りたい」と、東京・学芸大学に「ことり不動産」を設立。女性ならではの細やかな視点と「幸せな家選び」をモットーに、物件選びをサポートしている。宅地建物取引士。著書に『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)がある。現在、TV CMを放送中。YouTube「ことり不動産TV CM」でも視聴可能。 取材、文・髙倉ゆこ ©JuriA//Adobe Stock
取材、文・髙倉ゆこ