<城が語る>ハリルホジッチ新監督誕生でもロシアW杯出場は危うい?!
八百長疑惑問題で解任されたハビエル・アギーレ監督の後任監督として、前アルジェリア代表監督のバヒド・ハリルホジッチ氏(62歳、ボスニア・ヘルツェゴビナ)の就任が12日、JFA(日本サッカー協会)の理事会の承認を得て正式に発表された。 [動画]日本代表・ハリルホジッチ新監督会見「ロシアW杯で決勝T目指す」 厳しい意見を書くようだが、ハリルホジッチ氏のことを知っている選手が何人いるのだろう。また逆にハリルホジッチ氏は、日本人の何をどう知っているのだろう。私は誰が監督になっても現状のJFA(日本サッカー協会)の組織としての考え方や体質が変わらない限り、何も変わらないという意見を持っている。 なぜハリルホジッチ氏だったのか? どういうコンセプトを抱き、協会は監督選びに入って、その過程はどうだったのか。協会が、ハリルホジッチ氏に求めるものは、ロシアW杯出場なのか。W杯でのベスト16なのか。ベスト8なのか。ベスト8だとすれば過去にW杯でベスト16の経験しかないハリルホジッチ氏にそれは可能なのだろうか。そして、その先のビジョンはどう描いているのか。そのビジョンの実現のためにハリルホジッチ氏は、どんな役割を果たすのか。この日の会見の中身を見ても、それらが不透明で見えてこない。
私は繰り返して発信しているが、昨年のブラジルW杯で敗れた日本代表の何が通用して、何が通用しなかったのか。今後、向かうべきサッカーのスタイルは、どんなもので、そのためには何が必要なのかという具体的な総括が今なおされていない。 ザックジャパンの敗戦の理由を真摯に分析して、下の世代も含めて、日本のサッカー界全体が、どこへ進むかのロードマップを、協会はまず指し示すべきなのだ。なのに、そういう作業を曖昧にしたまま、また新しい監督の名前だけで、すべてを帳消しにしようとしている。 トルシエ氏、ジーコ氏、オシム氏、岡田氏、ザッケローニ氏と、過去の代表チームは、監督が交替する度にカラーが変わってきた。協会が明確なビジョンを持たず、すべてを監督に丸投げだから、継承されていく蓄積や財産も生まれてこない。今回のアギーレの解任から新監督探しのプロセスを見ていても、その同じ轍を踏んでいるように思えてならないのである。 またアギーレ氏の招聘に至る過程での調査不足、八百長疑惑問題が浮上してからの対応の不味さなど、協会理事の責任も重たい。だが、不思議なことに幹部数名の減俸だけで、責任は問わないという。これがプロの組織と言えるのだろうか。技術委員会が決め、理事会が承認という手順を踏むなら、承認をした理事全員に責任があるはずなのだ。