池袋暴走事故の損害賠償「1億円超」は保険会社が支払う? 高齢者の免許返納実態についても解説
2019年に起きた池袋暴走事故に関して、東京地裁が加害者である飯塚幸三受刑者側に賠償を命じました。その額は1億4600万円となりましたが、この賠償金は保険会社が全額補償することを知っていますか? 本記事では池袋暴走事故を一例として、自動車保険の概要について解説します。また、記事後半では社会問題となっている高齢ドライバーによる死亡事故についても考えていきます。
自動車保険の主な種類と内容
2019年に起きた池袋暴走事故について、東京地裁が飯塚幸三受刑者および保険会社に約1億4600万円の損害賠償の支払いを命じました。飯塚受刑者がかねてより医師から運転機能の低下を指摘されていたにもかかわらず、運転を継続したことで基本的な注意義務に違反し被害者の命を奪ったため、今回の支払い命令に至ったとされます。 事故の責任の重さや社会的影響力などによって莫大な損害賠償請求になりましたが、受刑者本人はこの賠償金を支払わず、保険会社が全額支払うことになっています。この結果は自動車保険の仕組み上、飯塚受刑者と保険会社の契約内容によっては全くおかしいことではありません。 自動車保険には一体どのようなものがあるのか、意外と知られていない「自賠責保険」と「任意保険」について解説します。 ■自賠責保険 自賠責保険とは法律で加入が義務付けられている保険のことで、自動車を保有していれば必ず加入しなければならないものです。自動車を運転中に他人をけがもしくは死亡させた場合に、最大4000万円まで補償されます。 ■任意保険 自賠責保険にプラスすることで、さまざまな不測の事態に備えられる任意加入の保険です。複数の種類があり、自分の目的などに合わせて自賠責保険と組み合わせることができます。図表1が代表的な任意保険です。 図表1
三井住友海上火災保険株式会社 任意保険とは?基本の補償内容や特約、自賠責保険との違いを解説 より筆者作成 今回の池袋暴走事故に関しては、自賠責保険のみではカバーできない4000万円以上の賠償金になっていました。 しかし、大手メディア報道によると賠償金の全額を保険会社が補償するとあるため、飯塚受刑者は任意保険にも加入しており、事故にあらかじめ備えていたと考えられます。今回の事故を自分ごととして考えると、任意保険がいかに重要なのかが分かるのではないでしょうか。