自動車「認証不正問題」の本質は国交省の“イジメ”ではないか…? 時代錯誤な「お役所仕事」が日本経済を停滞させる
国内メーカーには厳しく外国メーカーには甘い
マスコミの報道も醜い。例えばテレビ朝日の経済部記者は、「入学試験を受ける時にカンニングをして合格点を取った人に、入学後にカンニングの疑惑をかけられて、改めて試験を受けたら合格点が取れました」という話に例えて表現していたが、今回の件はそういう話ではない。 マラソンを走る時に、普段は着けない10キロの重りを着けて走っても合格タイム内で走れたので、重りを付けなくても絶対に合格タイム内で走れるのだから、わざわざ重りなしで走り直す必要はない、という感じで捉えるべきものだ。 ---------- 参照)【業界の慣習? 】トヨタなど5社で不正発覚 国交省の対応は 経済部・進藤潤耶記者【ABEMA NEWS】(2024年6月3日) ---------- ただし、中には毎日放送のように、国交省の問題を視聴者にわかりやすく説明する番組を作っているところもあったわけで、マスコミ全てがおかしいということではないことは付言しておく。 ---------- 参照)トヨタなど5社の認証不正『国より厳しい基準で独自に試験』その意味をわかりやすく解説 評論家・国沢光宏さん「日本がどうやって栄えていくか考えるべき」(MBS NEWS 2024年6月4日) ---------- ちなみに国交省は、国産車に対しては厳しい規制を敷く一方で、輸入車に対しては、一車種につき年間5000台を上限とするというルールはあるものの、輸入自動車特別取扱制度(PHP)により、簡素な書類審査で日本市場での販売を許可している。国産車は高い安全性が確保できなければならないけれども、輸入車は数が少ないから多少危険であっても構わない、ということなのだろうか。 もちろん国交省は「いや、我々はそんなことは考えていない。輸入車にも高い安全性を求めていて、国内の適合基準を満たしている車以外は販売できないようにしている」と言うであろう。だったら、輸入車同様の扱いで国産車も販売できるようにすればいいじゃないかとさえ言いたくなる。 そもそも、輸入車はそれほど安全なんだろうか? という疑問を私は持つ。 例えば今年5月16日に福建省福州市にある電気自動車大手BYDのディーラーで大規模な火災が発生した。 屋根裏に設置されていた電気配線がショートして出火したものが電気自動車に燃え広がったのではないかとの報道を見かけたが、真偽の程はよくわからない。それはともかく、この事件は、電気自動車は一旦燃え始めると恐ろしいということをまざまざと見せつけることとなった。 国交省はこのBYDの電気自動車に対する安全性を十分調査しているのだろうか。 テスラの安全性についても、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は「注意深いドライバーであれば視認できたはずの危険が絡んだ、回避できるはずの事故が多発する傾向が観察された」として、現在厳しい目を向けている。 ---------- 参照)テスラの自動運転技術に新たな難題、米当局が「基本的な問題あり」との調査結果(WIRED 2024.04.27) ---------- アメリカの規制当局が問題にしているテスラ車の安全性について、国交省は果たしてどこまで問題視しているのだろうか。 国内メーカーに対しては厳しいが、外国メーカーには甘いとなれば、国交省はどこの国の役所なのかと言いたくもなる。