森の樹木を1本も伐らずに家を建てる⁉北海道生まれの建築家が手掛けた、自然と調和する優しい自邸
四季の風景と共に心静かに暮らす
実際に室内に入ると、どの空間も道路を背に森の広がる奥に向かって大開口があり、木々の眺めが広がります。 圧巻は家族のくつろぎの場であり共有の団欒スペースとなった住居棟のダイニングです。天井高は約3.3mあり、森に向かって設けられた壁は全面がガラスで、さらに梁上部のガラス窓は約20度手前に傾斜しています。 そのため視線は正面だけでなく斜め上に伸び、幹の上のほうまでを視野に収め、木漏れ日は室内に届きます。 さらに鈴木さんは各空間で床の高さを変え、目の前の森との関係を多様なものにして、場所によって違った眺めを楽しめるようにしました。 「人を驚かせるような大空間はありませんが、その土地の風景になじみ、静かに心地よく過ごせる空間ができたのではないかと思います。自分らしい家になりました」と振り返る鈴木さん。 この建物を見て、鈴木さんに設計を依頼したいという人が増えたといいます。 (ML271号掲載)