豪雨後急ピッチで進む能登半島の公費解体「次の壁」は雪 39%完了、進捗に地域差
再発防止のため、県は市町や業界団体に事前連絡の徹底を要請した。輪島市の担当者は「家屋は貴重な財産。周知を徹底したい」と話した。
■「解体後の街の姿考え工程を」京大防災研究所の牧紀男教授
能登半島地震は多くの建物が揺れで倒壊しており、阪神大震災や熊本地震とケースは近い。ただ、都心部ではなく、半島のため交通アクセスが限られる。自治体も小規模で職員数も多くなく、解体手続きなどに時間を要している感がある。
現在、解体業者は確保されてきているが、職員や業者も慣れない手続きでミスが生じるなど、進行管理がうまくいっていないケースも散見される。県が支援システムを構築するなど、スムーズに進めるための方策も課題となりそうだ。
一方で性急に解体を進めると、災害廃棄物の仮置き場があふれたり、作業車両の渋滞が起きたりと別の問題も起きかねない。被災建物の中には歴史ある木造建築も多い。被害の程度によっては解体せず耐震化して維持する方法もあるし、解体するとしても建材を再利用することは可能だ。
倒壊建物がずっと残っているのは心が痛いし、早く解体が済んでほしい思いもあるだろう。だが、自治体には解体後の街の姿を総合的に考え、作業の工程を組むことを大切にしてほしい。(市岡豊大、秋山紀浩)