再雇用後の給料、少なすぎ…「定年退職後も同じ会社で働く」は損?⇒「“手取り”はそこまで下がりません。」FPが〈知っている人だけが得する選択〉を解説
すぐに社会保険料の額を下げたいなら「手続き」が必要
毎月の給料から天引きされる社会保険料は、給与の額で決まります。本来は、給料が減ったことが社会保険料の減額に反映されるのは4ヵ月後なので、再雇用がスタートしてから3ヵ月は従来の高いままの社会保険料を払い続けなければならないことになります。 すぐに社会保険料の額を下げたい場合は、勤務先に「同日得喪(どうじつとくそう)」の手続きをしてもらう必要があります。同日得喪の手続きをすると社会保険料負担が軽減される半面、老後に受け取る年金が少し減るため自動的には行ってもらえず、希望を聞かれることもあります。 多くの場合、年金減額のデメリットより社会保険料負担軽減のメリットのほうが大きいので、同日得喪の手続きをしてもらえるよう労務や人事の部署に要望しておきましょう。 再雇用では給与の水準が下がる代わりに業務の負担が減るので、60歳をすぎたら仕事以外の時間を楽しむよう、気持ちを切り替えてみるのもいいことです。再雇用中に仕事以外の時間を充実させ、少ない生活費での生活に慣れておくことは、豊かな老後をすごすためにはとても重要なことです。 なお、役職を解かれても、業務の内容や責任の範囲がほとんど変わらず、給料だけが大きく下がる提案をされた場合は、あきらめずに抗議すべきです。いかなる雇用形態であっても、「同一労働同一賃金」の原則に反する待遇は認められません。 <ポイント> ●額面の収入にこだわりすぎないで! ●2025年度から高年齢雇用継続基本給付金の水準が引き下げられる ●「同一労働同一賃金」の原則に反するなら、あきらめず交渉しましょう 森田 悦子 日本FP協会認定AFP(ファイナンシャルプランナー) 石川県生まれ。金沢大学法学部を卒業後、地方新聞記者、編集プロダクションを経て独立。主な執筆分野は資産運用、年金、社会保障、金融経済、ビジネス。新聞、雑誌、ウェブメディアなどで取材記事やインタビュー、コラム、ルポルタージュを寄稿。共著に『NISA&つみたてNISAで何を買っていますか?』、『500円で入門 今からはじめる株投資』(以上、standards)など。
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