NY紙が羽生を異例大特集も「氷上M・ジャクソンの負傷が五輪連覇を脅かす」
平昌五輪の開幕が約1か月後に迫っているが、ニューヨーク・タイムズ紙が、フィギュアスケートで連覇を狙う羽生結弦(23、ANA)の特集記事を掲載した。 「これまでで最も偉大なフィギュアスケーターは、くまのプーさんに囲まれた氷上のマイケル・ジャクソン」との見出しで掲載された長文記事。昨年10月のロステレコム杯からの羽生の動きを追い、熱烈なファンの存在、ライバルの台頭や、右足首の故障で現在、満足に練習ができず五輪を前に困難に直面している様子を紹介している。 記事は、今季の開幕戦となるロステレコム杯での演技後に大量のくまのプーさんのぬいぐるみがリンクに投げ入れられる現象や、会場には、日本、中国、韓国から何千人というファンが駆けつけ、それぞれがくまのプーさんをイメージする帽子やTシャツなどのコスチュームを身につけて応援している様子を紹介。ニューヨークのマンハッタンにある日本の本屋で並んだ羽生に関する雑誌や書籍数は19種類にも達しているという。 羽生の4回転ジャンプを中心とした技術と表現力、正確な滑りを絶賛。2006年のトリノ五輪銀メダリストで現在は、コーチを務めるスイスのステファン・ランビエール氏の「彼は、おそらく、これまでで最も完成されたフィギュアスケート選手だ」とのコメントを掲載した。また1992年アルベールビル五輪の銀メダリストで現在は解説者を務める伊藤みどりさんのインタビューも行っており「彼にしかない特別なオーラがある。日本人スケーターとして珍しく、スレンダーで長い首、手足を持つ」という談話を寄せている。 米国でのフィギュアスケートの著名ブロガーの1人、ジャッキー・ウォンさんは、羽生の演技のシーンを「全盛期のマイケル・ジャクソンかローマ法王に面会したことを思い出すようだ」と表現。「羽生(の演技)を初めて見る人々はヒステリーにかかったような興奮を覚えるか、感動で涙する。まるで人生が終わったかのように」とまで語っている。 だが、これらの状況は、昨年11月のNHK杯の公式練習での転倒による負傷で暗転した。 「右足首のダメージで平昌五輪の最終準備に臨む段階で1カ月以上も氷から遠ざかっているが、12月下旬に日本の五輪代表に選ばれた。関係者は羽生が回復すると期待している。だが、冬季五輪が数週間後に迫る中、羽生の足首は不安定なままだ。ジャンプの練習もまだできていない」という現状を伝えた。 「羽生が意気揚々と演技ができるようになるまで、五輪出場や本番での演技の確実性に疑念が及ぶだろう。ファンのみならずフィギュアスケートにおける最高の舞台を揺さぶっている。少なくとも、この負傷は1948年、1952年に五輪を制した米国のディック・バトン以来の連覇を脅かすものだ」と、連覇に赤信号が灯っていることを指摘した。