奥能登の「大動脈」国道249号、徐々に回復 一部通行可能に
能登半島地震発生後、半島北岸の外浦地区の生活再建に最も大きな障害となっていた国道249号の通行止め区間について、国は年内に基本的な通行を確保すると公表した。急ピッチで進む復旧工事現場を訪ねた。 【写真】国道249号の土砂で埋まった逢坂トンネル(2024年6月) 国道249号は、山がちの石川県奥能登地方の交通の大動脈で、通勤通学、通院、買い物など外浦地区住民の多くが毎日のように通る「生命線」だ。9月の豪雨でもダメージを受け、住民の苦難が長期化していた。 珠洲市真浦町は、隣接する同市仁江(にえ)町につながる逢坂(ほうさか)トンネルの出入り口が土砂で塞がれ、車で40分程度だった市役所に行くのに、迂回(うかい)して1時間半ほどかかる苦難を強いられた。 国は年内に岬巡りの仮設道路を開通させる方向で、造成工事は急ピッチで進む。さまざまな工法・行路を検討した上で決めたルートで、地震による隆起部を活用しているが、冬の外浦は「波の花」に象徴される荒波が特徴だ。波を避けるため、黒い土のうが海岸沿いに並ぶ。工事にあたる北陸地方整備局の担当者は、「50分程度で市役所に行けるようになる」と期待する。 一足先に通行可能になったのが、5日に通行可能になった輪島市・大川浜地区だ。ここを生命線としていた同市東部の町野地区住民は、以前は30分ほどで行くことができた市中心部に迂回して1時間~1時間半かけて通っていた。 4日に同整備局が開いた住民説明会では、地震後初めて映像で現場を確認した住民から「ひどい隆起やな」と驚きの声が上がる場面も。カーブだらけだった区間が直線に近くなるなど利点もないわけではないが、幅員は狭く、対向車と譲り合いが必要で、ガードレール完成まで信号で交互通行にせざるを得ない区間も。 それでも同地区の井池光信・金蔵区長(69)は「半孤立だった町野にとってすごく大きい。気持ちの面からして違う」と喜び、「本格的道路も早く造ってほしい」と語った。【竹中拓実】