ロッテ・益田直也 インタビュー 最高の結末へ「信念を持って投げている場所だから」
敗戦から得たもの
益田にとっての“セーブ”の意味こそが、気迫みなぎる投球の源
不撓(ふとう)不屈の精神の象徴だ。昨季の登板67試合はすべて最終回。9回、打ち切りのルールもあって、タイトルを獲得した38セーブに加え、67完了、18引き分けは日本記録だ。勝敗を託される9回のマウンドを守り続ける男の矜恃──。皆が望む結末を迎えるため腕を振る。 取材・構成=鶴田成秀 写真=小山真司、BBM 強い心が前を向かせる。チームの勝敗も背負う9回だけに、失点の悔しさは大きなもの。ネガティブになりがちな思考を払拭(ふっしょく)するのは己の信念だ。振り返れば開幕連敗発進が、右腕をより強くした。 ──13年以来のタイトル獲得となりました。奪還の意識はあったのでしょうか。 益田 いや、獲りたいと思ってやっていたわけではなかったので。シーズン中も意識はなくて。といっても20セーブ超えたくらいから「獲れるんじゃないかな」と思うようになったんですけど。(2位の)松井君(松井裕樹・楽天)がケガをして余裕になったので、セーブの数を気にすることなくやっていました。 ──8年前と比べて「考えながら投げた」とも言っていましたが。 益田 はい。あのとき(13年)は、ただガムシャラに投げていただけだったんです。でも、昨年は自分でシチュエーションとか点差とか、バッターとかを考えて、見て、感じて投げていたので。なので、8年前よりも自分としては、価値のあるタイトルなのかなと思います。 ──シチュエーションは多岐にわたります。一番、頭に入れているのは。 益田 う~ん、一番最悪のシチュエーションまでを想定しているんですけど……。一番良いのは、3人で抑えて終わること。大きくシチュエーションを分けてつくって、あとは対バッター。どう攻めていくか、ですよね。そこは臨機応変にバッターの反応を見て。ホントいろいろありますが、一番は「勝っている場面か引き分け(同点)の場面で行っている」ということ。そのまま終われるように。あとは逆算。先頭を出したらどうしようとか、ランナーが二塁に行ったらこうしよう、とか。そういう想定で、そこからアウトを1つひとつということです。 ──そうしてセーブを積み上げていったわけですが、振り返れば開幕3連戦で2敗。あの敗戦から得たものもあるのでは。 益田 あれは本当に良い経験になりました。あの経験は、なかなかできない経験だと思うんですよ、開幕から2連敗ですから(笑)。結果としては良くはないんですけど、シーズンで考えれば、タイトルを獲って終われた。そういう成績を残せたのは、あの2敗があったからとも言えるというか、力にもなったのは確かです。後輩に経験を伝えていくにしても、良いことばかりを経験していてもダメだと思うので。自分のためにも、後輩に伝えていくにしても、良い経験だったと思います。 ──悪い結果も今後を考えれば経験としては良かったと。 益田 調子が良い悪いはありますからね。それがシーズンの一番最初に来てしまった。年間に10回くらいは失敗するもの。それが最初の2回に来てしまった。最初のインパクトって大きいですし、みんなのイメージも「何しているんだ」となったと思うんです。でも・・・
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週刊ベースボール