引退騒動のモデルボクサーが公開リンチ?!
引退騒動を起こした美人モデルボクサーの高野人母美(28、協栄)が6日、後楽園ホールで、元WBA女子スーパーフライ級王者で、東洋太平洋女子バンタム級王者の天海ツナミ(31、アルファー)と、2ラウンドのエキシビションマッチ(公開スパー)を行った。引退騒動の余波からか練習不足に加えて両者の実力差は顕著で、遊ばれながら一方的に打ち込まれ、まるで公開リンチの様相となった。あまりの内容に場内はシーンと静まりかえり、「あと30秒、倒されないで!」と、終了間際に懇願するファンの声が飛び交う始末だった。 昨年、世界初挑戦に失敗した高野は、この日に56キロ契約で韓国の李恵林選手とノンタイトル6回戦の再起戦を行う予定だった。だが、先月18日に、その記者会見で「この試合を最後に引退する」と衝撃発言。高野流のメディアへのリップサービスだったが、事前に知らされていなかった海外出張中の協栄・金平桂一郎会長は、大激怒。金平会長の帰国後、両者は話し合いを行い、高野は引退発言を撤回、謝罪した。 だが、金平会長は「ボクシングへのリスペクトのないボクサーをリングに上げることはできない」と、試合中止を決めて、「今後、どうするかを見させてもらう意味で、ペナルティのエキシビションを行う」と、国内でもトップの実力を持つ天海ツナミとのヘッドギアを着用しての2分2ラウンドのエキシビしョンマッチを指令していた。格好の禊の舞台のはずだが、フタを開けると、高野はジャブを数発打つだけで息切れし、パンチに威力もスピードもなし。ノーガードでパンチを見切った天海に、試合ならばKOパンチになっていた強烈な右フックやボディなどを、あしらうように打たれ続けた。2ラウンドには、高野の不得意なインサイドの距離にノーガードで入られ、ほとんどすべてのパンチをダッキングとウエービングだけで外され、遠慮気味に手加減されたパンチを一方的に浴び続けた。 スパー後、高野は、リング上でマイクを使い、「このたびはいろいろとご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」とファンに謝罪した、控え室に帰っても目がうつろで、「リングで話ししようと考えていたことが飛んでしまっていました。まだまだ反応も何もできていません。緊張して練習でやってきたことを何ひとつ出せませんでした。申し訳ないという気持ちと悔しいという気持ちです」と、言葉も少なかった。 引退を撤回する気持ちに変わりがないのか?と聞くと、力強く「ハイ」とうなづくこともなく、「東洋チャンピオンになってたった1年なのに、不用意な発言で、本当にご迷惑をおかけしました」と答えた。 このエキシビションと、今後の練習態度を見て、「今後、どうするかを決める」と語っていた金平会長も、「ノーコメント」と、口にチャック。現役引退は撤回したが、この日の内容では、今後の予定が白紙のままになるにも無理はない。 リングを降りる際に、ファンから「引退しないで!」と声援が飛び、高野が手を振って応じたシーンが印象的ではあったが、世界再挑戦をするための説得力を、そのファイトから感じ取ることはできなかった。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)