求められたことに対して「0点」だった監督時代―高橋由伸さん
長嶋茂雄氏から「21世紀のスター」と期待され、読売ジャイアンツの監督も務めた高橋由伸さんは、監督時代の自身を「0点」だったと語ります。野球まっしぐらにやってきた人生を振り返ってもらい、監督時代のつらさや後輩への指導の仕方、問題視されているスポーツの「根性論」などについて話を伺いました。(スポーツ報知/Yahoo!ニュース Voice編集部)
監督として「勝つこと」を求められた
―高橋由伸さんは、1997年に読売ジャイアンツへ入団。新人ながら松井秀喜選手や清原和博選手と並んで当時のジャイアンツのクリーンアップを務め、チームのリーグ優勝を支えてきました。その後、2015年に読売ジャイアンツの監督に就任し、2018年には監督を退任。現在は、読売ジャイアンツ球団特別顧問のほか、野球解説、スポーツ報知評論家などとして活躍しています。 ―2015年から3年間、監督としてチームを引っ張ってこられましたが、改めてご自身の監督時代に点数をつけるとしたら何点でしょうか? 由伸さん: 「監督」としての自分を振り返ってみて、本当にシンプルに評価すると、0点になると思います。「勝つこと」を求められたけども、勝てなかったわけですから。「監督」として、何を求められているかによって、評価は違ってくると思うんです。「人を育てる」「チームを作り直す」ということも、求められていたと思いますけども、何を一番期待されていたかといえば「勝つこと」であったと思います。そこに絞って考えると、勝ったか負けたかでいえば負けたわけですから、求められたことに対しては0点だったのだと思います。 ―当時、対戦して嫌だった監督はいますか? 由伸さん: どこかのチームの監督が嫌だったというのはないです。ただ広島(東洋カープ)が嫌でした。当時、何をやってもなかなか勝てなかったので。
指導する上で「厳しさ」「優しさ」はどちらも必要。大事なのはその内容
―野球人生の中で、後輩への指導をたくさんされてきたと思います。人を指導する上で、「厳しさ」と「優しさ」どちらが大事だと思われますか? 由伸さん: どちらの方が大事ということではなく、両方とも大事なことだと思います。ただ、その厳しさと優しさの内容が大事なのだと思うんです。理不尽なこと、現実、いろいろなものを教えるという厳しさは大事だと思いますし、優しさというのも、ただ寄り添ってあげるだけであったり、単に話を聞いてあげる、共感してあげるだけの優しさだったら、僕は違うと思うんです。 ―由伸さん自身はこれまで後輩への指導について、「厳しさ」と「優しさ」どちらの方が多かったでしょうか? 由伸さん: 自分自身は厳しいことの方が大事だと思っていますけども、優しさの方を多く出していたのではないかなと思います。 ―振り返ってみると、「優しさ」の方が多かった。由伸さん自身はそのことについてどのように思われますか? 由伸さん: それが良かったのか悪かったのかは分からないです。指導を受けた本人次第なのではないでしょうか。受け取り手がどう思ったのかということが重要なのだと思います。だからこそ「厳しさ」「優しさ」のどちらも必要だし、その内容が大事なのではないかと思うんです。