求められたことに対して「0点」だった監督時代―高橋由伸さん
「根性論」も時には大事かもしれない
―スポーツの「根性論」が問題になっています。由伸さん自身は少年野球時代につらい経験はありましたか? 由伸さん: 正直、僕は少年時代に野球でつらい思いをしたことはなくて、練習やいろいろなことに対する厳しさというのは、あまり感じたことがないんです。「根性論」については、考え方や感じ方の問題もあると思っています。投手が投げる球数にしても、50球でいっぱいになる人と、100球まで投げても大丈夫な人がいるので、その人自身がどう思うかというのが一番重要ですよね。それぞれの選手で能力も違うので、周りが勝手に決めてしまって良い問題なのでしょうか。一概に数字やルールで決めるというのは難しく、それでは解決に向かわないのではないかと思っています。 私自身は、「根性論」というのも時には大事なのではないかと考えていて。「千本ノックはダメだ」という人もいますけど、千本ノックがつらくない人にとっては、問題にする必要がないことだと思うので。ただし、簡単には解決できない難しい問題ではあると思っています。 ―由伸さんは野球をやっていて、つらいと思ったことは本当に一度もなかったのでしょうか? 由伸さん: アマチュア時代はなかったと思います。プロ野球選手になってからは、「つらい」という言葉が合っているかどうか分からないですけども、学生の時に比べるといろいろなものに追われてやっていたなとは思いますね。「プロ野球選手」というのを仕事として捉えてやっていたし、毎日結果も出ます。その結果で左右されることもたくさんあったので。 ―つらいと感じている子にアドバイスをするとしたら? 由伸さん: 「なんで自分だけ?」と思わない方が前向きになれるのではと思うんです。練習など、みんなと一緒にやっているのだとしたら、周りの人も同じ状況の中で頑張っているのではないかと、少し視点を変えると気持ちが楽になるように思います。私の場合は、野球をやることは自分で選んだ道でもあったので、いろいろなものに対する感謝の気持ちを頭の片隅に持っておき、ちょっとやそっとのことは我慢して頑張ろうと思ってやっていました。考え方を少しだけ変えてみるといいのではないかなと思います。