エミリーは黒ではなくブルーを着るーー『エミリー、パリへ行く』のおしゃれ哲学
--シーズン2までパトリシア・フィールド氏と協業してきた中で、新たに得たものや影響を受けたことは? 「シーズン1からシーズン2にわたり彼女と一緒に仕事をした際、彼女から重要なアドバイスをもらいました。それは『タイムレス』であること。いまトレンドだからといってそのアイテムやコーディネートを取り入れるのではなく、現行のもの、ブランドのアーカイブ、ヴィンテージなどあらゆるアイテムをミックスさせること。タイムレスなものとは、ベーシックなものだけに限りません。色や柄もファッション界では古くからずっと使われてきたものなんですよね。
タイムレスなものとは、ベーシックなものだけに限りません
バッグなら、いまはやっているものを使わずにヴィンテージのものを使うことが多いです。バッグは身に付けるアイテムの中でもひときわキャッチーなのでトレンドのものを使ってしまうと、ひと目でそのルックの時世を断定されてしまう。でも、そこでヴィンテージのバッグといまのコレクションのウエアを柔軟にミックスしてスタイリングすれば、時間軸に誤差が生まれ、タイムレスなスタイルになります。これは作品の中でスタイリングするにあたってきわめて重要なことだと思います」
もしシーズン5があるなら、半数以上若手デザイナーを起用していきたい
--マリリンさんは、ハイブランドからニューカマーブランドまであらゆるデザイナーズアイテムをスタイリングに使用されますが、作品に出てくる中でいま注目しているニューカマーブランドは? 「シーズン3でたくさん使っていた『ケヴィン・ジェルマニエ(Kevin Germanier)』、『ワインサント(Weinsanto)』、『チャールズ・デ・ヴィルモラン(CHARLES DE VILMORIN)』といったオリンピックのオープニングセレモニーの衣装デザインをしていた若いデザイナーたち。あとは、シーズン4パート1での即興ファッションショーのシーンで話題になった“ペニスパンツ”コレクション、わかりますか? とても刺激的でしたよね。フランスの服飾学校リザア(LISAA)の学生たちと一緒にデザインしたもので、これもハイライトのひとつです。