「男らしさ」を求めるアメリカ。トランプ出演“ポッドキャスト”の壮絶な影響力
2025年1月、第2次トランプ政権が発足する。 今回の原稿では、選挙の原動力となった2つのキーワードを取り上げ、大統領選の振り返りつつ、これからのトランプ政権について考えたい。 【全画像をみる】「男らしさ」を求めるアメリカ。トランプ出演“ポッドキャスト”の壮絶な影響力 前編は「ビリオネアたち」、そして後編の今回は「男らしさ」について取り上げる。
「ブラザー」という言葉が持つ意味
トランプをとりまく影響力の強い男性たちを指す「Trump Bro(Brotherの略)」という言葉をご存知だろうか? 11月8日のAtlanticの記事「Taxonomy of the Trump Bro」の中でTrump Broの例として挙げられているのは、タッカー・カールソン、ジョー・ローガン、イーロン・マスク、ジェイソン・アルディーン(カントリー・ミュージック)、ハリソン・バトカー(NFL)、RJKジュニア、ハルク・ホーガン、キッド・ロックなどだ。 メディア、ビジネスからプロレス、音楽産業まで、幅広いセクターにおけるインフルエンサーたちと言っていい。 これら影響力のある人物らがトランプを応援することにより、トランプが正当化されただけでなく、「トランプを応援するのは、男らしい(manly)こと」というイメージ戦略に成功したのだとこの記事は指摘している。 では、これらの男性たちが体現する「Bro Culture」とは何なのか。これは、MAGAムーブメントの中核にあるものであり、今回の大統領選に影響を与えた重要な要因の一つだったと思われるので説明したい。 この「Bro」という言葉には独特のニュアンスがある。気のおけない男性同士が、互いを「Hey, bro」というように呼び合うことからくるのだが、日本語にすると「よう!」と肩を叩きあうような感じだろうか。 「Bro Culture」を説明するとしたら、男同士が兄弟のように親しくする、男性優位の文化、男子校のノリ、さらに「強さを信仰するホモソーシャルの集まり」と表現する人もいる。 男同士の親密な関係を表現する「Bromance(Bro + Romance)」という言葉も聞いたことがある人は多いだろう(最近だと、トランプとマスクの関係がまさにそう呼ばれている)。 いずれにしても「Bro」の世界は、女性には入り込めない。男性のみがメンバーになれるクラブであり、シリコンバレーのテック企業は、このBro Cultureに支配されているとしてしばしば批判される。