中国で上野千鶴子著書が大ヒット 若い女性共感、社会現象に
【北京共同】日本の女性学研究の第一人者である上野千鶴子さんの著作が中国で大ヒットしている。弱者が弱者のままで尊重されるよう訴える思想が共感を呼んだ。講演を開けば若い女性の申し込みが殺到し、社会現象とも言われる。ブームの背景に男性優位の社会構造への絶望や閉塞感の根深さが透ける。 中国メディアによると、上野さんの著書はこれまでに20冊以上、中国語に翻訳・出版され、国内の総販売部数は数十万部に上る。22年には、国内最大級の書評サイトで上野さんが「今年の作家」1位に選ばれ、鈴木涼美さんとの共著「往復書簡 限界から始まる」は「今年一押しの本」に。北京大で開いたオンラインの講演には全国から聴講希望者が殺到した。 ブームのきっかけは東大の祝辞だ。中国の動画サイトで100万回以上再生された。 支持者の中心は20~30代の高学歴女性。北京大の古市雅子准教授は「平等に見えた社会」に行き詰まりを感じた多くの女性が、生きづらさの原因を平易な言葉で解明する上野さんに心酔していると指摘する。