初日は転売ヤー殺到で「異様な雰囲気」に…「ハローキティ展」の展示内容に覚えた「物足りなさ」の正体
1974年11月1日に生まれ、2024年に50歳となった国民的キャラクター・ハローキティ。彼女が50年ものあいだ、いまでは国境も越えて、愛されつづけるのはなぜなのか。“サンリオとともに生きてきた”長年のハローキティファンでライターの中沢明子さんがキティちゃんの特別さと現在地に迫ります。本記事では2025年2月24日まで開催中の「Hello Kitty展」について、初日レポートをお届けします。 【写真】転売ヤーが殺到し「異様な雰囲気」に包まれた「ハローキティ展」初日 #1【「みんななかよく」50歳になったハローキティが伝え続ける、現会長の「戦争反対」への強い思い】を読む。 (写真はすべて著者撮影)
東博で開催の「ハローキティ展」
2024年11月1日に50歳になった、ハローキティ。彼女の歴史を振り返る大規模展覧会「Hello Kitty展 -わたしが変わるとキティも変わる」が、ふだんは静謐な東京国立博物館(略して東博)表慶館で始まった。 ところが、翌日以降の各メディアの報道でご存じの方もいらっしゃると思うが、この初日は朝から文字通りの阿鼻叫喚の現場となった。キュートなハローキティの盛大な「お誕生日会」がこんなことになるなんて。件の初日組の一人であった私も驚いたので、備忘録として書き残しておきたい。
「カオス」な入場待ち
9時30分のスタート時間にすぐ入れるとは思わなかったが、少しでも早く会場に入ろうと、私は8時50分に東博近くに到着。しかし、すでにとんでもない数の人々が東博周辺でぐるりと列をなしていた。徹夜組もいたそうで、私が会場に入れたのは13時30分である。ハローキティに思い入れゼロのスーツ姿の「視察組」や小さなお子さんを連れた方々が脱落していったにも関わらず、である。11月とはいえ、暑い日であった。 じゃんじゃん横入りをする人、列に入ったり出たりする人、座り込んで列の進みを妨げる人も続出し、まさにカオス。大音量の中国語が飛び交う中で、日本語話者がいると、現在の状況についてお互いの情報を持ち寄った。 平成館で同時開催されていた『挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」』の鑑賞に来ていた人々が「何ごと!?」といった表情で通り過ぎていく。当然だ。 表慶館会場入り口に鎮座しているハローキティの下では、人数制限のために係員が静止しているにも関わらず、人々が殺到し、叫び声が響き渡った瞬間もあった。 SNSの有志による実況中継によれば、会場限定のグッズが根こそぎ買われており、人気商品はすでに品切れになっている、とのことだった。いわゆる「転売ヤー」によるもので、買い占められた会場限定ハローキティのマスコットが、(なぜか)道端でぞんざいに扱われている動画も拡散した。