【ボクシング】井上尚弥が7回TKO勝利で4団体V2成功「丁寧にボクシングを組み立てること。ボクシングは簡単なものではない」
2024年9月3日(火)東京・有明アリーナにて、プロボクシング世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)が、WBO世界同級2位で元IBF世界スーパーバンタム級王者テレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)と対戦した。 【写真】井上は12月に日本で次戦、ボブ・アラム氏は2025年にラスベガスでの試合を語った 2022年6月のノニト・ドネア(フィリピン)戦から6戦連続となる世界王者経験者との防衛戦。 ドヘニーは計量時55.1kgから1日で66.1kgに。井上とは3.4kg差になる。 深く踏み込む左ストレートが武器に、4Rまでの決着率が70%と前半に強いドヘニーを相手に井上は、慎重に試合を組み立て、上下に散らしてダメージを蓄積させると、7回16秒、井上の左ボディにドヘニーが腰を痛めてTKO勝ち。4本のベルトを守った。ドヘニーはキャリア初のKO負けだった。 井上は、世界戦通算勝利数で井岡一翔(志成)を抜いて日本人最多23勝に。また、自身の持つ日本人世界戦連続KO記録を9に伸ばした。 1R、オーソの井上に、サウスポー構えのドヘニーは右回り。右ジャブを細かく突くドヘニー。井上は圧力をかけてコーナーに詰める。井上は左オーバーハンド、右ボディで牽制。喧嘩四つのジャブ。井上はガード上に右ボディストレートを突く。ドヘニーは右前手の飛び込みを見せる。互いに慎重な立ち上がり。 2R、右ジャブをダブルで突いて右回りにステップするドヘニー。井上の圧力に押し込んでクリンチ。じりじり詰める井上は左ジャブを刺すと右ボディ! ロープから身体がはみ出るも戻す。 ガード上にワンツーを見せる井上。右から左を踏み込むドヘニー。かわす井上。コーナーに詰めて右ボディストレート! さらに詰めて右ボディ、左右をはたいてゴング。 井上陣営は「まだ急がないでいい、見切って行こう」と声。 3R、右ジャブをガード上に叩くドヘニー。井上は前足の位置を内・外と切り替え外足で右ボディ。ドヘニーは右フックから左ボディの入り。かわした井上に右ボディ。ブロック上に左右を当てる。詰める井上は、距離を掴むも慎重。左ボディのドヘニーに右ボディをかえして左は顔面に。ギアを上げた井上。 4R、左ジャブから入る井上。右回りのドヘニーは左ボディを突く。スイッチを見せたドヘニーは左の相打ち! さらに左の深い踏み込みをかすめる。そこに左を合わせに行く井上は右ボディも。ドヘニーの左をかわして右ボディを当てる井上。ドヘニーの左が大きくなると、かわした井上は右ボディストレート、顔面にノーモーションの右ストレート! ドヘニーは重心を下げるとコーナーに詰まったドヘニーに井上は右ストレートを突く。 「こつこつとツースリーまで打て」と井上陣営。 5R、立ってインターバルを過ごした井上。右から左の飛び込みのドヘニーをかわす井上。ガードを上げてあえてロープを背にして誘う。左右ボディのドヘニーは後ろ重心。詰める井上は左ボディ! ドヘニーの身体がくの字に。右ボディ、左ジャブも。 ドヘニーは逆ワンツーの右をヒットも、詰める井上は左ボディ! 左ジャブをヒット。最後にドヘニーは左で踏み込むも井上はかわす。 6R、踏み込んで右ボディを当てる井上。ドヘニーも手数を増やして右から左を突く。ロープに追い込み右ボディから右ストレートの井上。ドヘニーは得意の右フックから左を狙うが、休まず詰める井上は、右ボディ! ドヘニーは左を狙うが、かわす井上は右ストレート! さらにいきなりの右。次はワンツーをリズムを変える。 ドヘニーも右フックから左で入りを変えるが、コーナーに詰まるドヘニーを左ジャブから右ストレート、右ボディでコーナーに釘づけにする。上下に打ち分けた井上。左目を腫らしたドヘニーは腰を押さえる。 7R、ゴングと同時に詰める井上は右ストレートのダブル。ロープを背にしたドヘニーに右から左ボディとラッシュ、ドヘニーは右腰を押さえて続行不可能をアピール。 7R 0分16秒 TKOで、井上が勝利。ドヘニーはコーナーの椅子に座ったまま腰を押さえて動けず。 ドヘニーにキャリア初のTKO負けをつけた井上は、「(相手の)ダメージというのは少なからず蓄積はあったと思います。(出だしは慎重だった?)今回テーマというのは、丁寧にボクシングを組み立てること。ボクシングというものは簡単なものではないので、倒しに行こうと思って倒せるスポーツではいので。しっかりボクシングというものを理解して組み立てるように意識しました。 内容・結果として皆さんの満足するような、きっと期待していたような試合内容ではなかったかもしれませんが、長く試合をしていればこういう試合もあるということで、また次に期待していただきたいなと思います。 まだまだ未完成だと思いますし、決して、今日の試合内容は、自分出来の悪さではなくて、ドヘニーのキャリアだったり試合運ぶの上手さだったりがさせたので、まだまだ自分としては完成していないなと。もっともっと上を目指していきたいと思います。 ボブ・アラム グレートパフォーマンスだった。年内にここ東京でもう1試合、試合をして、そして来年には大きなイベントを開催したいと思っています。 皆さんほんとうに応援ありがとうございました。こうして僕はボクシングが出来るのだと感じます。引き続き、期待して応援していただけたら嬉しいので、また12月、楽しみにしていてください」と語った。 5、6人がかりでリングを降ろされたドヘニーは、両肩を関係者に借りて、右足をひきずって花道をあとにした。 12月の井上の相手は誰になるか。放送席では、ドヘニーに判定勝ちしていてIBF、WBOともに1位で指名挑戦者のサム・グッドマン(豪州)、サウスポー構えでリオ五輪銅メダリストの“MJ”ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)、WBCスーパーバンタム級1位のアラン・ピカソ(メキシコ)、さらに将来的な対戦候補としてWBC世界バンタム級王者・中谷潤人(M.T)の名前が挙げられた。