ソシエテの香港トレーダー退職、危険なオプション投資が発覚-関係者
(ブルームバーグ): フランスの銀行ソシエテ・ジェネラルで、リスク管理システムに検知されなかった危険なオプション投資が発覚したことを受け、香港のトレーダー2人が退職した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
非公開情報を理由に関係者が匿名を条件に語ったところでは、取引に関する内部調査の結果、デルタワン・デスクのトレーダー、カビシュ・カタリア氏と、チーム責任者のケン・ウン氏が昨年同行を去った。
関係者によると、ソシエテは問題になった取引で損失を出していないが、市場の厳しい逆境の下で、数億ドル規模の損失を被る恐れがあった。今回の失敗は、欧州最大の銀行の一つであるソシエテのリスク管理に疑問を投げ掛けた。パリ在勤の同行の広報担当者はコメントを控えた。カタリア氏とウン氏もコメントしていない。
インド株式市場の指数のボラティリティーが低くとどまる方向に賭ける投資をカタリア氏が行っていたと関係者は述べた。ソシエテのリスクマネジャーは、タイミングに関係する問題で取引に気付かなかったという。
カタリア氏の取引の一部は、ソシエテのシステムに正しく記録されていなかった。関係者によれば、同氏はオプション契約を翌日まで持ち越すのではなく日中に約定させ、権利行使期限が到来する日に合わせてアレンジする傾向があった。
関係者によると、ソシエテはカタリア氏の取引を把握した際、ストレステスト(健全性審査)を実施し、市場の逆境下でのパフォーマンスを検証したが、最も極端なケースでは、数億ドルの損失をもたらす可能性があった。
デルタワンのトレーダーは株式トレーディング部門に属し、株式バスケットと関連するデリバティブ(金融派生商品)を扱う。2021年に香港でソシエテ入りしたカタリア氏は、インド株のトレーディングを主に担当し、 昨年は同デスクが数千万ドルの利益を上げることに貢献した。
23年初めからソシエテで勤務するデスク責任者のウン氏は、取引を承知していなかったという。