スケートボード・ストリートで男女表彰台を独占! 日本が世界で勝てる「2つの理由」
日本が世界で勝てる「2つの理由」。一つは環境面のアドバンテージ
では、なぜ日本はこれほどまで強いのだろう? 筆者が考える要因は2つある。一つは「コンテストの仕組み」だ。 実は日本は幼少期からどの年代でもコンテストにおける目指すべきゴールが明確になっているのだ。基本的にスケートボードには国体やインターハイといった他のスポーツにある年代別の全国大会はないし、世界を見てもアンダーカテゴリーの国際大会は聞いたことがない。だが協会やブランドが、インターハイでいう高体連などの組織の代わりを担う立場で開催しており、それが独自の強みとなっているのだ。 その代表的な組織がFlake(フレイク)とAJSA(一般社団法人日本スケートボード協会)といえる。 Flakeはもともと小学生までを対象としたキッズアパレルブランドで、今のようにキッズが参加者の大多数を占めるようになる前の2007年から毎年コンテストを開催しており、その規模は年々拡大を続けている。今やイオンモールと提携して全国各地を転戦するジャパンツアーを行い、そこを勝ち抜いた選手たちによるチャンピオンシップによって日本一の小学生を決めるという「日本最大のキッズ・スケートボードコンテスト」に成長した。 しかもFlake Cupには小学校3年生以下のキッズクラスと小学校4~6年のジュニアクラスがあるので、体格や体力差を最小限に抑えつつ、各年代で上を目指せる環境が出来上がっているのだ。 もう一つのAJSAはというと、40年以上続く歴史ある協会になる。2000年代より全国各地域のアマチュアサーキットと、それを勝ち抜いた選手たちによるプロ昇格権を懸けた全日本アマチュア選手権、そしてプロサーキットと、明確なピラミッド型のコンテストシステムを確立している国内唯一の組織なのだが、面白いのが各カテゴリーの出場選手の年齢層だ。 2010年代より出場選手の低年齢化が急速に進んだ結果、今のプロ戦は高校生が中心となっているのだが、全国各地域のアマチュアサーキットの参加者は中学生が最も多く、そこに前述のFlake Cupを加えると、王道の成長ルートが見えてくるのだ。 スケートボードを始めたら、まずはFlake Cupのキッズクラス優勝を目指し、高学年になったらジュニアクラスの優勝を目指すとともに、卒業後を考えてAJSAの大会にも出始める。そして中学生のうちにプロ資格を取得し、高校在学中に国内No.1と世界進出を目指すという、成長過程における見本ともいえる道筋が自然と出来上がっているというわけだ。 もちろんこのルートがすべてではないのだが、成長ルートが可視化できる育成システムは、間違いなく日本独自の強みと言えるだろう。さらにコンテストのシステムが整うと、自然とそれに伴うスクールも増えていくので、互いに相乗効果をもたらしているのが今の日本の強さの根源となっているのは間違いない。