スケートボード・ストリートで男女表彰台を独占! 日本が世界で勝てる「2つの理由」
日本がスケートボード大国になるために必要なこととは?
日本がスケートボード大国になり、世界で勝ち続けるために必要なことは何だろうか。 前提として、スケートボード大国であることと、世界で勝つことはイコールではないと筆者は考える。現在の日本は世界から見たら、あくまで「コンテストに強い国」でしかないと思う。スケートボード大国と呼ばれるようになるには、スケートボードが一般市民の日常に溶け込む必要があるからだ。 今の日本は街中の至る所に禁止看板が乱立しており、日常生活からは完全に隔離されているのが現実だ。ただストリートという種目名からもわかるように、スケートボードと街は切っても切り離せない関係で、競技のルーツが街中にあるのも事実。そこで近年、海外で注目を浴びているのが、「スケートボードを前提にした街づくり」だ。何事にも保守的な価値観が根強く、高齢化社会が進んでいる日本のバックグラウンドを考慮すると難しいだろう。だが発想を変えれば、日常に溶け込ませること自体は可能だ。 それは「スケートボードの部活化」だ。 全国各地域のスケートパークと学校が連携をとって、部活化を進めていく。部活動の民間委託が叫ばれている昨今の社会状況と、増加の一途を辿るスケートパークとキッズスケーターの数を考えれば、決して不可能ではないはずだ。 そうなれば地域ベースで相対的に一般認知度を高めることが出来るし、それが優秀な選手の輩出にもつながると思う。さらに言えば、本来のルーツである街とスケートボードの共存に向けた活動もしやすくなっていくのではないだろうか。 ただし、現在の日本はあまりにも世界で強いため、優秀な指導者は海外に引き抜かれる傾向にある。女子ストリートで中国勢初の決勝進出を果たしたチェンシー・ツイ選手には、小野寺吟雲も指導し、以前には青木勇貴斗、根附海龍を育てた経歴を持つ中坂優太コーチが専属で付いているし、他にも日本人指導者の海外進出は進んでいる。今後は海外勢も急速に力をつけてくるはずだ。 愛好者が本質であるカルチャーを大切にする気持ちは十分にわかるのだが、それを突き通すのは日本社会ではあまりにもハードルが高い。最終的なゴールはそこに置くとしても、その過程で日本独自の部活文化を生かし、日本なりの進化を遂げていくのも、一つの方法ではないだろうか。 <了>
文=吉田佳央