事務所はクビ、コンビも解散「これでダメなら路上生活かと」スギちゃんが17年間の下積みを経て「ワイルドネタ」にたどりつくまで
── スピード感があったんですね。下積みからブレイクまで、17年近くかかっていますよね。その間、どのようなお気持ちだったのでしょうか。 スギちゃん:ブレイクしたのが38歳なんですけど、その時はもうバイトの面接すら通らなくなっていたので、相当な危機感でした。今は30代後半で芸人を目指してアルバイトしている人も当たり前にいますけど、当時は30代後半でアルバイトしている若手芸人って、もうどうしようもないという感じで。
以前は、俺みたいなおじさんがバッと売れるってことはなかったんです。だから、芸人は売れないと30歳で辞めていました。でも、俺が38歳で売れたんで、劇場に出ている芸人たちは「38歳まではいける!」と勢いづいて、下積みの年齢層を引き上げちゃった。その後、錦鯉が50代でブレイクしたので、「40代の間はまだいける!」となりましたよね。 ── 劇場芸人の希望の星になったんですね。 スギちゃん:当時は20代で辞める芸人さんが多かった。だから当時は俺も焦ってましたね。「これで売れなかったら路上生活か」くらいに考えてました。ずっとバイト生活を続けてきて、40歳近くなって「芸人辞めます」となっても、俺に何ができるんだろうって。何の資格もないし、もう会社には入れないだろうから、40歳までバイトしながら続けてダメだったら、もう路上生活だ、人生終わりだ…というくらいに切羽詰まってました。
■絶好調が一転、ケガで半年動けず「俺の人生何だったんだ」 ── ただ、2012年の『R-1ぐらんぷり』準優後、今度は病気やケガで休むことになりました。 スギちゃん:そうですね。下積み生活を17年間やって、2012年3月に『R-1ぐらんぷり』で準優勝して、いきなり仕事がダダダッと入って。8月までは休みなく働いたんですけど、8月後半に骨折して、一気に白紙になりました。マネージャーからは「9月が一番忙しいよ」って言われていたのに、その9月の仕事を全部飛ばして。胸椎を骨折して、全治半年と言われたんです。