【アイスホッケー】五輪最終予選、日本0勝3敗。 ⑥古橋真来(栃木日光アイスバックス)
「代表は旬な選手を連れていけばいい。 ベテランに対しても失礼だと思います」
オリンピックは古橋にとって、また日本代表のメンバーにとっても、またしても「遠くにあるもの」になってしまった。 「行ってみたいですけどね。最初は札幌オリンピックもあるって話で、昔は目指していたんですけど」 「次の4年後を考えて、代表は若返りを目指していくんでしょうか。でも、ディビジョンIのグループAに上がって、それに選ばれないのは自分でも後悔してしまう。日本代表は一番、旬な選手を連れていけばいいんです。そうしないと代表のレベルが落ちちゃうし、若い選手が僕らを食って、初めて世代交代でいい。ベテラン選手に対しても失礼だと思うんですよ」 言いたいことを言っているように見えて、古橋の弁は的をえている。話を聞いていると言葉の端々に「俺たちはプロだ」というプライドを感じるのだ。 「代表合宿は今のままで十分だと思います。それよりも、外国のユニフォームにはスポンサーがついているじゃないですか。なんで日本代表はそうではないのかなと。アジアリーグも、入場料が3000円だったら3100円にして、100円を代表強化のために使えばいい。選手の側からはちょっと言いにくいんですが、ビジョンとかアイデアはあるんです。でも、僕らが言ったところで変わらないでしょうけど」 プロとして物を考え、プロとして動く。「これが俺たちの仕事だ」という誇りにほかならない。 「目の前に試合があって、見に来てくれる人がいる。僕らは、やるだけじゃないですか」。12月、地元・日光開催の全日本選手権。古橋はそこでプロらしい「勝負」を演じ切れるだろうか。古橋の日本代表ストーリーは、まだ終わっていないように見えるのだ。 古橋真来 ふるはし・まくる H.C.栃木日光アイスバックス、FW。栃木県日光市出身。日光小、日光東中、日光明峰高から中央大学に進学し、アイスバックス入り。1年目からチームの主力として活躍する。日本代表としても高校時代から、マーク・マホン元代表監督からの評価が高かった。昨季は全日本選手権で優勝し、自身はベスト6。実家は日光市内で「けんちん汁 古はし」を経営し、選手も午前中の練習が終わった後に訪れている。
山口真一