不動産会社の女性経営者が教える! 最低限知っておきたい「賃貸物件の基礎知識Q&A」
女性約200人が所属するanan総研メンバーに「賃貸物件」をテーマにアンケートを実施。そこで今回は、女性に特化した不動産会社を経営する 平出雅美さんに、女性たちの質問に答えていただきながら"賃貸物件を賢く選ぶコツ"について教えてもらいます。プロの意見、ぜひ物件選びのヒントにしてください。 【保存版】敷金礼金から入居時退去時のルールまで! 「賃貸物件の基礎知識Q&A」はコチラ。
不動産会社の女性経営者が教える! 最低限知っておきたい「賃貸物件の基礎知識Q&A」
【女性が知っておくべき「賃貸物件」基本のき】vol.71 質問1「ひとり暮らしをしたことないので、よく聞く敷金礼金とか入居時退去時のルールがよく分かりません」(35歳・会社員) ――敷金礼金とはどういったお金なのか具体的に教えてください! 平出さん 敷金とは、入居時に大家さんに預け入れるお金のことです。退去時の修繕費や家賃滞納時などにこのお金があてられます。基本的には退去時に原状回復にかかった費用を差し引きして、余った敷金は戻ってくるお金です。基本的に家賃1か月が相場です。 礼金とは、入居時に大家さんへ支払うお礼の意味を込めたお金のこと。敷金とは異なり返還されません。戦後住宅の供給不足だった時代に、住む場所を与えてくれた大家さんへのお礼として始まった慣習のようです。こちらも基本的に家賃1か月が相場ですが、昔に比べると礼金が0円になっている物件が多くなっている傾向があります。 また、入居時には敷金と礼金に加えて前払い家賃、仲介手数料、火災保険料、保証会社の利用料や鍵交換費用など契約時にかかる初期費用が必要となります。一般的には月々に支払う家賃の4~5倍の金額がかるため、支払う直前になり「初期費用の用意が間に合わなかった!」とならないためにも、家賃の5倍はかかると見積もっておいた方がいいです。 ――入居時退去時にやってはいけないこと、必ず守るべきルールはありますか? 平出さん 賃貸物件は大家さんから借りているものなので、退去時には、"原状回復義務"といって入居時の状態に戻して返さなければいけません。そのため、賃貸物件に住む際は最低限のルールとしてなるべくキレイに使うようにしてください。汚れたり壊したりした箇所は、退去費用として請求されてしまうので「退去時に予想外の費用がかかってしまった」という事態を避けるためにもこの"原状回復義務"は覚えておいた方がいいです。 また、退去時に費用がかからないようにと、壁紙の張り替えや床の補修を自分で行うかたがいますが、かえって傷が目立ってしまったり仕上がりが悪くなって、余計にお金がかかってしまうこともありますので、過度な修繕は自分で行わず、専門業者に任せるようにしてください。 質問2「ひとり暮らしをしたいのですが、家賃の相場がわからないです。住みやすい、住みづらい間取りもよくわからないので教えてほしいです」(31歳・会社員) ――ひとり暮らしをする際、家賃相場はおおよそどれくらいでしょうか? 平出さん 住む地域によって相場は変わるのですが、東京都内の人気の駅やエリアならワンルームで8万~10万円が相場になります。築年数が浅いほど家賃は高くなり、古くなるほど安くなる傾向があります。駅から遠いと家賃は安くなりますが、バスやタクシーを頻繁に使い交通費がかかってしまい、かえって出費が高くなってしまったケースもあります。家賃を抑えたいかたは、ワンルームタイプ、ユニットバス、築年数が古い、駅から遠いなど、条件を見直すことで出費を抑えられます。ただ女性のひとり暮らしは防犯面も重要だと思うので、安いからといって即決せず周辺環境やセキュリティも確認するようにしてください。 ――ひとり暮らしに住みやすい間取りについて教えてください! 平出さん 極端に収納が少ない物件に住むと、収納家具を別に買う必要ができたりなど、生活のなかで不便に感じることが多くなるためおすすめできません。ひとり暮らしの物件はどうしても狭さを感じることが多いのですが、クローゼット、収納付きの洗面台、キッチンに収納スペースが付いているなど、備え付けの収納スペースが多い物件を選ぶといいです。部屋が広すぎると荷物が増えすぎてしまったり、掃除が面倒でこんなに広さは必要なかったと話しを聞くこともあるので、自分の荷物量、生活スタイルにあった広さを選びましょう。家賃や間取りはインターネットでたくさんの情報がでているのでぜひチェックしてみてください。実際にひとり暮らしをしている友人や同僚に話しを聞いてみるのもおすすめ。今住んでいる物件で満足している点、不満な点を聞いてみると、とても参考になると思います。 質問3「ひとり暮らしをしたいと思いますが、住む物件に虫が出ないか不安です…」(34歳・自営業) ――虫が出にくい物件はありますか? どんな条件なのかについても教えてください。 平出さん ひとり暮らしをしていて虫が出るのは嫌ですよね。1階に住む、近くに大きな公園や木々が生い茂っていたり自然が多い場所に住むと虫に遭遇しやすいと思います。私自身、昔大きな池のある公園の近くに住んでいたのですが、虫だけでなくカエルに遭遇することもありました(笑)。地上10m以上の物件であれば、ハエや蚊などの飛ぶ虫が飛んでこれないとされているので、最低3階以上、なるべく高層階に住むことがおすすめです。また、マンションの玄関が外廊下だと虫がいることもあるので、内廊下だと安心です。 ――虫が出ないように、住む前にできる対策はありますか? 平出さん 洗面所やキッチンの配管、エアコンの配管などあらゆる隙間は虫の侵入経路になるのでパテや隙間テープなどで埋めておきましょう。入居前にご自身で殺虫剤を焚くかたも多いですね。網戸に塗るタイプの防虫剤などもあります。不安でしたら、費用はかかりますが虫駆除サービスなどの専門業者のサービスを利用するのも手ですよ。 ――最後に、これから賃貸物件でひとり暮らしを始めたい女性にアドバイスをお願いします! 平出さん これからひとり暮らしをするかたには、急な出費や転職など、状況が変わっても大丈夫なようにある程度の貯金があると安心です。初めてのひとり暮らしは、家賃の負担、防犯面などを考えると不安に思う女性も多いと思います。ですがひとり暮らしといっても、ライフスタイルやお部屋の使い方は人それぞれ。周りの意見に左右されすぎず、自分が一番ワクワクして帰れるような自分に合った物件を選んで楽しんでほしいなと思います。 快適なひとり暮らしを始めるために知っておこう 物件探しは賢く丁寧に。引っ越しを検討している人は、今回のポイントをぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。 教えてくれた人 株式会社東京女性不動産 代表取締役社長 平出雅美さん 宅地建物取引士所持。不動産歴3年目、2021年11月に「東京女性不動産」を開業。 東京女性不動産は、安心してお部屋探しができることを第一に、相談から契約まですべて女性スタッフが担当。女性一人での東京のお部屋探しを、女性ならではの視点で親身にサポートしています。LINEでの相談もできます。安心して新生活を始められるように、ストーカー保険の提案やRefaプレゼントなどのサービスもあって、さすが女性にやさしい! 電子書籍「宅建の教科書」がKindleにて好評発売中。 文・市岡彩香 anan web、anan Beauty+を中心に執筆するフリーライター。これまでに取材した人数はタレントや経営者を含め500名以上。インタビューライター、フードライターとして活動中。 ©Ruslan/Adobe
市岡彩香