EVバッテリーの大量廃棄に備え急務、中国のリサイクル市場はどう動くのか ー現地専門家が指摘
廃棄バッテリーの活用法
廃棄バッテリーのリサイクルには大きく分けて、カスケード利用と再資源化の2つがある。孫副社長はカスケード利用できるシーンとして、産業・商業用蓄電システム、アウトドア、フォークリフト、予備電源、街灯や緊急用照明、小型車用などを挙げた。最も重視されるのは安全性であり、安全検査を経ずに市場に出回ることはないという。 カスケード利用は、バッテリーの解体方法や効率の点で課題がある。また、完成車メーカーやバッテリーメーカーが製品設計の段階からカスケード利用を手掛ける企業と協力し、電池性能に優れ、かつリサイクルしやすいバッテリーを共同開発することも課題だ。このためには産業全体が協力し、経済効果と環境保護の両面でプラスとなるように努力する必要がある。 趙会長は、電池の型式を標準化し実装方法を改良することで、産業全体のコスト削減と効率化を実現し、最終的に自動車メーカーやバッテリーメーカー、さらには社会全体の持続的発展に寄与することができるとの考えを示した。
業界全体でウィンウィンを実現
最近では、車載バッテリー大手の寧徳時代(CATL)や贛鋒鋰業(Ganfeng Lithium)もバッテリーリサイクルへの参入に動き出している。リサイクル企業はこれら大手とどう戦っていくのかについて、趙会長は以下のように述べた。多くの大手企業や国有企業がリサイクル業界に参入するのは、メーカーとしての社会的責任を果たすためであり、市場の主導権を握ろうとしているわけではない。またバッテリーの大部分は消費者が個人で使用しているもので、最終的には全国に存在する数千もの処理企業へと流れていくため、サードパーティー企業は特定のブランドに限定されることなく多くの自動車メーカーと提携でき、チャネル、技術、協力のチャンス、すべてにおいて有利になる。 孫副社長は中国電動汽車百人会のデータを挙げて、2030年までに新エネルギー車の保有台数が8000万台から1億台になる見込みで、あらゆる規模の企業をのみ込める巨大市場になると話す。企業各社が力を入れる点は異なっているので、完成車メーカーやバッテリーメーカーが参入すればサービスの多様化が期待できる。切磋琢磨し、ウィンウィンの関係を構築することが新エネルギー車産業の際立った特徴になるだろう。