冬ボーナスの代わりに「寸志」10万円が現金支給されました。これはもう「お小遣い」扱いで税金はかかりませんよね?
2023年冬のボーナスは支給されましたか? 労務⾏政研究所の調査によると、上場企業のボーナス平均は1970年の調査開始以来、初の80万円台となっており、景気が上向いているようです。 しかし、実態は業界によって異なっており、中小企業の35.4%は「ボーナスを支給しない」と回答している調査もあります。実際に、「ボーナスなし」もしくは「寸志のみ」という人も多かったのではないでしょうか。 本記事では、ボーナスではなく「寸志」が支給された場合の課税関係について解説します。
「寸志」って何?
寸志とは一般的に、「少しの贈り物」を意味します。「寸」は、長さの単位が由来となっており、一寸法師を想像するとその小ささがわかりやすいのではないでしょうか。 「志」は相手を思いやる気持ちを意味しているので、組み合わせると、「一寸(ちょっと)ばかりの気持ちです」と謙譲して使う言葉になります。よって、寸志は高額な金品ではありません。ボーナス時に使用される場合は、「ボーナスといえるほどではないけれども、日頃の労働に感謝して寸志を支給します」といったところでしょう。
「寸志」と「ボーナス」の取り扱いは同じ
「寸志=会社からのお小遣い」というイメージがありますが、どう取り扱われるのでしょうか。「寸志」の意味を知ると、会社から給与とは別に渡されるプレゼントのような感覚になるかもしれません。しかし、税金の取り扱いにおいてはボーナスと同じなので注意しましょう。当然年収に含まれますし、税金と社会保険料がかかります。 ■寸志10万円にかかる税金と社会保険料 10万円の寸志から天引きされる源泉徴収税額を計算するためには、まず社会保険料の金額から計算しなければなりません。本記事では東京都在住、介護保険第2号被保険者に該当する場合で計算します。 10万円×(健康保険料5.91%+厚生年金保険料9.15%+雇用保険料0.6%)=1万5660円 寸志(ボーナス)にかかる源泉徴収税額は前月の給与に応じて税率が決まります。本記事では前月の給与が30万円(社会保険料控除後)、扶養親族0人の場合で計算してみます。 (10万円-1万5660円)×8.168%=6888円 この場合、10万円の寸志から源泉徴収税額である6888円と社会保険料1万5660円の計2万2548円が天引きされ、手取りは7万7452円になりました。