なぜ中学受験の勝者が大学進学で失敗? エスカレーターで転んだ人の「驚きの末路」
「親は子どもを肯定してあげてほしい」加熱する中学受験への思い
石井「親のことはもちろん、好きなんですけど、母とぶつかることもありました。母は、自分の考えが正しいと思い込む傾向にあって、そこでよくぶつかってて、僕からすれば『いやあなたの意見が100じゃないし、正解でもないし』っていう議論をよくしてましたし、今でもします」 お互いに言いたいことを言い合える親子関係は、石井さんにとって成長するきっかけになることも多かったようだ。 石井「幼少期から母に教えられてよかったのは『自分で考えなさい』ってことですね。小さい頃に何かを聞いても必ず『自分で調べなさい』って。そのおかげで、自問自答する癖がついたと思います」 両親に感謝する気持ちの一方で、近年の加熱する中学受験に関してどう感じているか聞いてみると...。 石井「正直、中学受験を自分の意思だけで決める子どもは少ないと思うんですね。僕も、親の敷いたレールに乗って、小さい頃から塾に行き、周りからは優等生と見られていたので、周りの友達がやっていた小さな悪戯を一緒にやることもなかった。小学生だから許される小さな失敗とか、子どもだから経験できることをやらずに僕は過ごしたことを後悔しています。 子どもらしくいられる時期、子どもらしくいられることの価値は高いと思うので、それを勉強で割いてしまうのは、本人の幸福度は本当に上がっているのか? というふうに考えてしまう面もあります」 こんな石井さんの問いかけにも『中学受験は子どものため』と思う親御さんも少なくないだろう。 しかし、受験には必ず合否の結果が分かれるものであり、不合格となった時のこころづもりを持っておくべきだろう。 石井「たとえ受験に失敗しても、親には『あなたはあなたでいいんだよ』って言ってほしいと思います。それから、子どもは親のものじゃなく、自立した個人なので、親と子どもがそれぞれいいと思うものが、決して一致しているとは限らない可能性を考えてあげてほしいです。 親にできることは、子どもが何をしたいかを考えられる環境を作ることと、それが見つかった時に応援できるように準備をすることだと思います」 そして、子どもとともに受験戦争に挑むすべての親たちに、子どもの気持ちを石井さんが代弁してくれた。 石井「受験に限らず、『子どもに対して私がこうしていれば...』という言葉を聞くことがありますけど、親はそんなに自分を責めなくていいと僕は思います。子どもは自分のなりたいようになるので。子どもは、親が自分を肯定してくれたらうれしいし、安心できると思います」
【シドニー石井(石井航平)】 お笑いコンビ天秤、YouTubeチャンネル「僕らの別荘」メンバー。1994年生まれ、東京都出身。明治大学付属中野中学・高等学校を経て東洋大学へ進学。明治大学のお笑いサークルに所属し、ラランド・サーヤ、令和ロマン・ 髙比良くるま、松井ケムリらとともに親交を深める。
シドニー石井(石井航平)