温室効果ガスを75%削減? アルミのクリーン製錬所がアメリカに誕生へ
需要増のアルミをどうやって手にいれる?
今まで以上のアルミが必要なことは、疑う余地なし。では、どうやってアルミ生産を伸ばすのか…。 アルミの生産は、アルミが多く含まれる鉱石ボーキサイトを、アルミナと呼ばれる精製粉末にするところから始まります。これを精錬して金属を作ります。ボーキサイト採掘を含むこの生産プロセスは、残念ながら有害物質を排出し有毒な廃棄物をうむ環境破壊に繋がっています。二酸化炭素排出量の多さで、地球温暖化にも影響を与えてしまいます。ちなみに、アルミ生産プロセスでの二酸化炭素排出量の6割は精錬時の電力によるもの。 環境非営利団体ClimateWorks Foundationの企業脱炭素の専門家Rebecca Dell氏いわく「本当に泣きたくなるほど膨大な電力量なんです。(業界がカーボンフットプリント削減に取り組むなら)まず最初にすべき最重要課題はクリーンエネルギーを使うことでしょう」
世界で取り組まれているアルミ精錬のクリーン化
アルミ精錬業界のクリーン化という取り組みは、もちろんアメリカだけでなく世界で行なわれており、クリーンエネルギー活用で劇的に炭素排出量削減を見せている国もあります。ノルウェーやカナダ(ケベック)の精錬所では水力発電を、アイスランドでは豊富な地熱資源を活用することで、温室効果ガスの排出量を削減しています。 が、世界最大の第一次アルミ生産を担う中国では、世界トップの座を死守するため、工場の電力は石炭火力発電なんですけれどね…。 センチュリー・アルミニウムは、アイスランドで低炭素精錬を運用しており、年間30万トンのアルミを生産。アメリカ国内でも、ケンタッキー州とサウスカロライナ州であわせて2つの小規模工場があるので、エネルギー省の予算獲得を足がかりに低炭素精錬を拡大するととともに国内での存在感を強めたい考え。 45年ぶりとなる新アルミ精錬工場について、センチュリー・アルミニウムもエネルギー省もその稼働開始時期についてはコメントしていません。どれほどのアルミ生産が可能かも明言されていません。ただ、期待されているのは年間100万トン弱。(2023年のアメリカ第1次アルミ生産は約75万トン。)